このモデルは、精緻なメカニズムを引き立てるようにブリッジが曲線を描き、手作業で入念に面取りされたエッジが美しい表情をつくり出しているが、時計にとって何より重要な精度や耐久性も十分併せ持っているところが秀逸である。

 美観と機能との絶妙な融合はまた、表と裏に二つの文字盤が備わる「ラウンド スプリットセコンド ダブルフェイス クロノグラフ」にも見て取れる。主役は、両面に網羅されたクロノグラフの計測機能にあり、表側中央にクロノグラフ針とスプリットセコンド針、裏側に1本のクロノグラフ針を配置する。だが、デザインは驚くほどシンプルで、複雑さをみじんも感じさせないところが卓抜である。

 いずれも時計の本質を突き詰めるフランク ミュラーならではのまたとない逸品だ。