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「プロ経営者の教科書」CEOとCFOの必修科目
【第10回】 2015年11月17日
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ダイヤモンド・オンライン編集部

元国税庁長官が日本企業に訴える
タックス・プランニングの必要性

渡辺裕泰・早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授

――2009年の税制改正からは、外国子会社(持ち株比率25%以上、保有期間6ヵ月以上)からの受取配当が、基本的に益金不算入となりました。

 海外進出の際に子会社をつくるか支店を置くかは、税金の面からも検討すべきです。支店の場合は本社と損益が合算されますが、子会社は親会社とは別法人なので、損益が合算されません。また、親会社が子会社から受け取る配当については、益金不算入になります。

 したがって、海外進出の初期で赤字が出る段階なら、税金については支店が有利。海外事業が軌道に乗って利益が出るようになった後は、受取配当の益金不算入となるので子会社が有利になります。もちろん、外国では、進出形態(支店か子会社か)について様々な規制などもあるので、自由に事業形態を選択できるとは限りませんが、税負担の違いが生じることを念頭に置いておくことは大切です。

移転価格は
事前確認と根拠の文書化を

――グローバル展開を進める企業が注意すべき、国際税務のポイントを教えてください。

 日本企業は、連結会計についてはよく理解していると思いますが、連結納税を選択している会社はまだ少ないので、連結会計と連結納税の違いを指摘しておきます。

 連結納税すると、グループ内の黒字と赤字の相殺ができることになりますが、海外子会社は連結会計の対象ではありますが、連結納税については対象外なので注意が必要です。たとえば、事業年度末に海外子会社に押し込み販売をすると、税法上本社の利益は増えるものの、海外子会社の欠損は通算されないので、グループ全体としての税金は増えてしまいます。

 税の世界では、黒字と赤字の会社がまだらになる状況は好ましくなく、すべての会社を黒字にすべきです。たとえば、本社から赤字の海外子会社への貸付を出資に変更すれば、子会社の赤字が減り(税は変わらない)、親会社の利益も減ります(税は減る)から、グループ全体の税額は減ります。

 また、源泉課税もできるだけ避けるべきです。源泉課税の対象はネットの利益ではなくグロスの収入なので、金融のように利幅が薄いビジネスでは源泉課税されないように特に注意が必要です。

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「プロ経営者の教科書」CEOとCFOの必修科目

企業経営に携わるCEO、CFOには、M&A、コーポレートガバナンス、リスクマネジメント、財務戦略、グループ経営管理、テクノロジーなど、様々な分野の知識が求められる。こうした知識を蓄えることは経営者の「教養」を深めることにつながり、企業経営の質を高めて行く。CEO、CFOが学ぶべき「必修科目」とは何か。各分野の第一人者たちに聞いて行こう。

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