>>(上)より続く

 一樹さんは最初のうち、言い渋っていましたが、途中から「本当のこと」を話し始めました。一樹さんはバツイチで今回の結婚は2回目だったのです。4年前に当時の妻(はつみさん)と離婚したのですが、一樹さんと前妻の間には長女(さくらちゃん、当時10歳)がいたそうです。話し合いの末、さくらちゃんの親権は前妻が持つことに決まり、その代わりに一樹さんははつみさんに対し、さくらちゃんの養育費として毎月8万円、そして慰謝料として毎年6月と12月にそれぞれ30万円を支払うという約束をしており、養育費、慰謝料の支払が大きな重荷になっていたのです。

 具体的な数字を見ていきましょう。まず一樹さんの手取りは毎月の給与が28万円、ボーナス月の賞与が夏(6月)は60万円、冬(12月)は62万円とのこと。一方で毎月の支出は33万1000円ですが、毎月の給与を5万1000円も上回っており、6ヵ月ごとに賞与で赤字を補填せざるを得ない状況でした。

 しかし、赤字を補填すると今度は賞与月の収支も赤字に陥ってしまうという堂々巡り(6月は72万7000円-60万円=△12万7000円。12月は68万2000円-62万円=△6万2000円)で、結局、年間では18万9000円(月額に直すと月1万7000円)の赤字なので、すでに危機的な状況です。

 このまま赤字を垂れ流すようでは早晩、家計は破綻するし、夫婦の間に子どもが生まれたら生まれたで、ますます赤字が拡大し、絶望的な状況に追い込まれるのは目に見えています。赤ちゃんにかかる費用ですが、ミルク代、オムツ代などを考えれば、どんなに少なくとも毎月4万円はかかるでしょう。このままでは「経済的な理由」で、せっかく不妊治療で授かった子どもを中絶せざるを得なくなってしまいますが、それだけは絶対に避けなければなりません。

赤字を解消するためには
前妻の理解が必要

 では、家計の収支をどのように改善すれば、赤字を解消することができるでしょうか?一樹さんいわく、すでに出費を最大限、切り詰めており、これ以上、節約するのは難しいとのこと。あとは一樹さんが前妻に支払っている養育費、慰謝料を切り詰めるしかありませんが、例えば、養育費を毎月8万円から4万円へ、そして慰謝料を賞与月30万円から30万円から20万円へ減額すれば、ようやく家計はトントンに落ち着き、出血(赤字)を食い止めることができます。