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ツイッターで暴言三昧、新潟日報報道部長の因果応報(上)

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第139回】 2015年11月28日
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 今月はどーにも、何だかなあと理解に苦しむ暴言騒動が頻発した。

 その人の人間性を疑うような発言、発信は、いったいどこからくるのだろう。たとえば、今月一八日、茨城県総合教育会議では、県の教育委員を務める長谷川智恵子氏がこんな発言をした。県内の特別支援学校を視察したことに触れてだ。

 「妊娠初期にもっと(胎児の障害の有無が)わかるようにできないのか。四ヵ月以降になると堕ろせない。(特別支援学校の教職員も)すごい人数が従事しているし、県としてもたいへんな予算だろうと思った。生まれてきてからじゃ本当にたいへんですね。一生がありますから、小中高のあいだは預けられるけれど、その後は親、兄弟が見ることになる。茨城県では(障害児の出産を)減らしていける方向になったらいい」

 私はもう、お口があんぐり。

 長谷川氏と言えば、日動画廊(銀座)の副社長(日本洋画商協同組合理事長)を務める文化人だ。日動画廊が日本のトップクラスの画廊だということは、ちょっと美術が好きな人なら誰もが知っている。長谷川氏はサルバドール・ダリやマルク・シャガールら世界的な芸術家とも親交があり、言うなれば日本の文化、芸術を牽引してきた文化人のひとりでもあった。

 その、誰よりも芸術に触れる機会に恵まれた長谷川氏が、障害がわかった胎児の出産を減らせたらいい――、などと発言した。それはつまり、障害のある子は生んじゃいけないと言いたいのだね、このオバさんは。障害のある子は、生む前に葬れとも言いたいのだろうね、このオバさんは。二〇二〇年の東京でも同じことが言えるのか、是が非でも訊いてみたいところだ。

 「配慮が足りず言葉足らずだった。障害のある人を差別する気持ちで述べたものではない」

 批判を受け、長谷川氏はこう釈明したが、だったらどういうつもりであんな発言をしたというのだ。あの発言で傷つく人がいるだろうこともわからないようなやつが芸術だ文化だとぬかすんじゃねえよ……、と私は思うが、さらに驚いたことに、橋本昌県知事でさえも、長谷川氏の発言を「問題ない」として不問に付していた(後に発言を撤回)。大丈夫なのか、あの教育委員にしてこの県知事で。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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