太陽電池でグローバル企業に脱皮<br />スピード感を持ち変革に挑む<br />昭和シェル石油会長 香藤繁常 Photo by Daisuke Aikawa

──国内の石油精製能力は、日量480万バレルに対し、100万バレルが過剰とされる。他社に先駆け、製油所廃止による12万バレル削減を打ち出した狙いは。

 少子化が進行し、また、低燃費のクルマが出るなど環境対策が進み、国内の需要は長期にわたり逓減していく。

 だが、世界規模では、人口は65億人から2050年には92億人になり、原油の価値はますます高まる。昔のように、1バレル20~30ドルに下がることはないだろう。

 今回、海外市場で戦うためにコスト構造を検証した。日本には、石油の備蓄義務と消防法の規制によるコストがかかる。だが、操業の安定性は他国より高い。装置構成の高度化を実現すれば、高い国際競争力を持つことができる。

 精製能力の削減は海外市場をにらみ、価格競争力を上げるために他社よりもスピード感を持って挑んだ結果だ。

──14年度の目標には、経常利益の半分の500億円を、石油でない太陽電池で稼ぐと掲げている。

 これも、海外市場で勝てる確信があるからだ。

 現在、当社の太陽電池売り上げの80%以上が海外市場向けだ。今後も、各国の政策的な導入促進で需要は伸びるだろう。

 11年度には宮崎県に太陽電池の第3工場が完成、年産1ギガワットの体制が取れる。フィールドテストでは、1日の総発電量がトップクラスにあると評価を得ている。高温のなかでも発電量が劣化しないため、中東にも適している。