舞台よりも東電へ! の理由

マコ それで、子どもたちにプレゼントを渡すとき、私が書いた記事も一緒に読んでもらうことにしました。
 記事を書くならば、しっかりした一次情報を取ろうと思って、インターネットで東京電力のライブ中継をつけっぱなしにして、一字一句書き起こしていました。
 すると、会見で出てきた情報が、肝心のテレビに全然流されないことがわかりました。

広瀬 都合の悪い話は、あのころ、テレビ局が表に出さなかったのです。

マコ 会見場の様子を見ていると、質問したくて手を挙げ続けながら、まったく当ててもらえない記者がいました。司会者がその人を露骨に避けているんです(笑)。たまに司会が変わって、そういう人に「間違って」当ててしまうと、ほかの記者が、
「おまえの質問なんか誰も聞きたくない!」
「そんな質問は後にしろ!」
 と野次るんです。

 ニュースが信用できないから、記者会見をライブで見始めたのに、突っ込んだ質問をする記者は黙殺されて、あたりさわりのない質問をする記者だけがよく当たるのよ。あまりにもひどいので、腹が立ってケンちゃんに、
記者会見に行って、『私たちが聞きたいんです』と言い返してやろう」と。

広瀬 上杉隆さんも、あの時の記者会見の異常さを言っていましたね。
 ところで、マコさんが取材している東京電力の記者会見は、いつ、どこでやっているのですか?

マコ 原発事故が起こった2011年3月は、時間に関係なく記者会見がありましたけど、その後、少しずつ回数が減ってきました。いまは、毎週月曜と木曜の午後5時半から東京電力の本店でやっています。

広瀬 それに、ずっと出ているのですね?

マコ 行けるときはほぼ全部出ています。舞台よりも東電に行くほうが多いですからね。

広瀬 偉いなあ。驚きます。でも、事務所(吉本興業)からは止められなかった?

マコ すぐに怒られました。当時のマネージャーに「原発にふれる限り、おしどりの仕事は取らない」と言われました。「傷がつくからダメだ」って。

広瀬 誰が傷つくの?

マコ そう、変よ。だから「私たちの人生だから、仕事がゼロになってもいい! 傷がついてもいいんです」って言ったら、「違う、傷がつくのは会社だ!」と(笑)。

広瀬 へえ、これは驚いたね。