私自身も子ども心に
ジェラシーが……

 私の場合、母が満5歳違いの妹をつれて、よく家を留守にしました。
 子ども心に、私を残し、留守番をさせられたときの悲しさ、くやしさ、ジェラシーは長く尾を引き、母親への不信感にさいなまれるあまり、夜中に泣きながら目覚め、朝まで眠れなかったこともありました。

 私は、生来大らかで、大胆かつ物怖(ものお)じしない子でしたので、幸いそれがトラウマにならずにすみましたが、子どもによっては一生心が傷つく場合もあります。

 親子でも相性のようなものがあり、兄弟姉妹間のかわいがり方、叱り方の差が強いと、かわいがられた子はさほど感じずに成長しますが、冷遇された子は深く傷つき、成長とともにそのときの感情が増幅され、子ども心に悩み続けます。

 私は、子どもたちを差別視する親が嫌いで、わが子に対して勝手な扱いをした結果、「困っている」という相談者に会うと、真剣に答える気力が薄れてしまいます。

 気を取り直して相談に応じますが、
「きっと、私の言ったことは実行できないだろうな」
 というむなしい思いに襲われたりするのです。

 しかし、私はいつも「赤ちゃんの代弁者になる」という決心のもとに仕事をしているので、こんなことで気力を失うわけにはいかないのです。