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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

「変な客こそ、本命」予期せぬ成功がイノベーションにつながる

上田惇生
【第196回】 2010年5月31日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2100円(税込)

 「予期せぬ成功ほど、イノベーションの機会となるものはない。だが、予期せぬ成功はほとんど無視される。困ったことには存在さえ否定される」(ドラッカー名著集『イノベーションと企業家精神』)

 経営者にはビジョンがある。夢もある。技術もあれば、ノウハウもある。そして無事、新製品、新サービスを世に出す。当然買いに来てくれる人をイメージしている。

 そこへ想定外の客が現れる。腹が立つ。

 しかしドラッカーは、「変な客が来たら、それが本命の客だ」という。予期せぬ客というカモがネギならぬイノベーションを背負ってきたもので、手厚くもてなさなければならない。

 ドラッカーの調べたところでは、成功したイノベーションのなかで最も多いケースが、この予期せぬ成功であった。

 初めコンピュータは科学計算用として開発された。そこへ事務用としての需要が見つかった。事務用の購入先である企業を真っ先にとらえたのがIBMだった。

 当時、技術的にIBMに先行していたユニバックは、企業という予期せぬ客のニーズに応えようとしなかった。精緻な芸術品たるメインフレーム・コンピュータは、給与計算などという俗なもののために開発したのではなかった。

 「マネジメントにとって、予期せぬ成功を認めることは容易ではない。勇気が要る。同時に現実を直視する姿勢と、間違っていたと率直に認めるだけの謙虚さがなければならない」(『イノベーションと企業家精神』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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