IMFで投票権のない中国
常任理事国ではないインドとブラジル

そこで国際機構の話に移るのだが、世界じゅうの人から正統性を認められるには、多くの国際機構で時代に沿った改革が必要になるだろう。大型新興国であるブラジルとインドはどちらも国連安全保障理事会の常任理事国ではない。中国は常任理事国だが、これだけの経済大国になってもIMFでは投票権がない。

多くの中型新興国も頭角を表すと予想されるが、既存の国際機構では地域リーダーとしての発言力が十分にない。G20が2008年の金融危機をきっかけに国際的な舞台で存在感を増したように、主要国際機構の改革は何らかの危機がないと進まないのではないか。さもなければ、旧態依然とした国際機構は、ゆっくりと死んでいくだろう。そうなれば、私たちの暮らしは悪化する可能性が高い。

世の中が急速に変化している時代に、国際機構を機能させるのは容易ではない。つまり私たちは、正統性と効率のバランスを測る必要がある。意思決定に関係国が関われるようにしつつ、意思決定を円滑化するために関与国の数を制限する必要がある

多極化とパワー拡散によって、国際機構の改革は難しくなるだろう。しかしいかなる改革も、新興国の人々が正統性を見出せないものであってはならない

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