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人種・同性愛差別にテロ肯定、暴言ツイート続発のなぜ

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第140回】 2015年12月5日
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 神奈川県藤沢市の市立小学校で、女性教諭が小学四年生の算数の授業でこんな語呂合わせを教えた。電卓の使い方を教える授業だったようだ。

 18782+18782=37564

 語呂合わせは「嫌なやつ」+「嫌なやつ」=「皆殺し」となると教えたところ、これを知った保護者がすぐさま県教委に連絡し、県教委が市教委に伝え、この市立小学校に確認し、教諭の授業内容を「不適切」な指導だったとみなした。小学校は保護者会で謝罪したらしい。

 が、これは不適切なのか?

 と思うのは能天気な私くらいだろうが、こーいうことにいちいち目くじらを立てるのってどーなんでしょ、と思っちゃったりするのである。市脅威……、もとい、市教委の取り調べなのか尋問なのか調査を受けた女性教諭はこう言っている。

 「語呂合わせは本かインターネットで見て記憶にあった。桁の多い計算で数字に興味を持ってもらおうとしたが、不適切だったと反省している」

 最後は明らかに市脅威……、もとい、市教委に言わされている感が強いが、いかんのかなぁ、そーいう教え方。大化の改新の年号を私は蘇我入鹿を蒸し殺すと覚えたけれど。蒸し殺すだよ、蒸して殺すんだよ。釜ゆでより残虐だぞ(最近は虫五匹とか蒸し米焚いて大化の改新と覚えるらしい)。市教委はこう言っている。

 「いじめ防止や命の大切さを教える取り組みの中、教育現場でこのような授業が行なわれるのは、指導方法としては不適切だった」

 とは言いながら教師の世界でもいじめはたくさんあるのだけど。

 たとえば、愛知県に行けば、愛教大の卒業生に非ずんば教師に非ずなんてことがまことしやかに囁かれるし、どこの都道府県でも仮説実験授業をする教諭は教育委員会に睨まれ、本来なら教頭校長になっていてもおかしくない年齢なのにヒラ教員のままだったりする。

 さらには、仮説実験授業をする教師が同じ学校に集まらないよう赴任先を散らばせ孤立させる「仮説人事」まである。実に陰険なのである。そんなセンセイ方がいじめ防止だの差別はいかんだのと教えるのだ。実に滑稽ではないか。

 足し算の答えが「皆殺し」になると教えられたから子どもたちのいじめが助長される――、とセンセイ方は思ってらっしゃるから不適切だとおっしゃっているのだろうが、それは違うんじゃないか。尾木ママに訊いてみたいけど。

 というか、何が「不適切」なのだ?

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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