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米国シェールガスと鉱山大学の中国人

Shale Gas in US, Chinese Students in School of Mines

谷口智彦
2010年5月6日
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 シェールガスという言葉、まだ耳慣れないものの、じき広く聞かれるようになるだろう。これが大量に取れるとなると、米国は1次エネルギーにおける海外依存度を著しく減らし、逆に言えば自足度を甚だしく増すことができる。しかもその可能性は専門家の見るところ、かつてなく高まっている。

 つい先ごろも三井物産が今期以降2年で1兆2000億円余りも投資すると決めたことが報じられた際、向き先は海外のインフラ・資源案件であって、「米国の新型天然ガス(シェールガス)開発の大型投資」が有望先に含まれるとあった(日本経済新聞5月4日付)。

 シェールとは、shale。訳語には「頁岩(けつがん)」とか「泥板岩」を当てるらしいがいずれにしろよく分からない。shale gas とは何か、手っ取り早く理解するには、石炭や石油のあるところこれらの岩があり、その地層にどうやらふんだんに賦存する可燃性ガスのことを言うのだと思っていればいいようだ。

 既に旧聞に属す2009年6月18日、コロラド州ゴールデンにある州立コロラド鉱山大学(などという優秀な学校があることも初耳)の調査委員会(The Potential Gas Committee、PGC、潜在性ガス委員会)が出した報告が、静かに盛り上がりつつあった関心に火をつけたかっこうだ。だからこの稿は1年遅れでキャッチアップしようとする試みである。専門筋の方は日本でもとっくにご存知だろうからそこは恥をしのびつつ。

地底からの贈り物

 PGCは2年に1度ずつもう44年も報告を出し、米国にどれくらい天然ガスが眠っているか推定値を発表してきた。昨年その値は1836兆立方フィート(52兆立方メートル)とされ、過去最高となる。

 理由はというと「アパラチア山脈、中西部、メキシコ湾岸地域、ロッキー山脈方面」で、シェールガス埋蔵量を大幅に上方修正したためだとのことだった。なんのことはない、われわれ中学校の地理で、石炭が取れ、石油が取れるところと教わった一帯である。ナントカは二度おいしいという話で、だとすると米国とはつくづく運のいい国だ。

 なんでも高い圧力をかけた水を地層に当てて岩盤を破砕し、そこから石油を取り出す手法(hydraulic fracturing といって長年使われてきた)が、シェールガスに対してやっと近年使われるようになったとのこと。

 同じ電力量を発電する際出す二酸化炭素の量が、ガスだと石炭より半分で済む。米国は常々忘れがちだが巨大な石炭大国で、そのせいで発電の多くは国際市況より著しく安い石炭を燃やして賄われ、それがまた米国の電力料金を飛び抜けて安く保ってきたのだが、地球温暖化防止が錦の御旗になりさすが米国の歩が悪くなるかと思いきや、地底からのこの贈り物である。

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谷口 智彦 Tomohiko Taniguchi

日経ビジネス誌主任編集委員などを経て2005年8月~2008年7月外務省外務副報道官。記者時代に米プリンストン大学フルブライト客員研究員、上海国際問題研究所客座研究員、米ブルッキングズ研究所招聘給費研究員、ロンドン外国プレス協会会長など歴任。現在慶應義塾大学大学院 SDM研究科特別招聘教授、明治大学国際日本学部客員教授など。

 


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移り変わる世相を映し、次々生まれては消えてゆくのがbuzzword(話題の流行語)。このコラムでは国際情勢に精通した筆者が、海外で静かに話題に なっているbuzzwordから激変する世界情勢を読み解く。隔週木曜日掲載。

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