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中国海軍、第一列島線を超える

PLAN Sails Beyond the First Island Chain

谷口智彦
2010年5月20日
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 民主党国会議員団の相原久美子、網屋信介、川内博史、近藤昭一、瑞慶覧長敏、皆吉稲生の6氏は、去る5月7~9日、サイパン、テニアンを訪れ、在沖縄海兵隊をもっと受け入れてくれないか地元の代表者たちに打診した。

 その際グアムの知事フェリックス・カマチョ、米国保護領北マリアナ諸島連邦(CNMI)の知事ベニグノ・フィティアルの両氏に、東京へ来てくれれば鳩山由紀夫総理とじかに会えるよう計らうと、強い心証を与えたことが地元紙に出ている('NMI, Guam govs may meet with Japanese PM', Saipan Tribune, May 10, 2010)。

サイパン、テニアンにだって事情はある

 2人の知事は、一部に報じられたように、沖縄の海兵隊をいくらでも受け入れるなどと無条件かつ手放しの話をしていたのではない。

 自民党政権下の2006年、日米両政府は約束を交わし、司令部機能を含む8000人の海兵隊とその家族を沖縄からグアムへ移すことにした。所要のコストは日本政府も負担することになっている。

 けれども当然必要になる病院や、下水道といった生活関連インフラの整備コストを誰がみるのか、詳細は詰まっていない。

 そのことを両知事は民主党議員団に会った際、あえて明確にするとともに、いかなる決断も地元ではできずワシントンの判断になると強調したらしい*1

 要するに民主党や社民党が皮算用をしたようには、2人の知事が来日して鳩山総理と会談したとしても、それが、どうぞサイパンへ、あるいはテニアンへ、グアムへももっとどうですかと、無条件の招請となる見込みはなかった。

 そうなるのだと言わぬばかりの観測に基づく論評が一部で見られたけれども、先方にしたところで、受け入れが招くいろんな激変への抵抗は当然ある。

結局流れた鳩山会談

 こんなことだと「絵にならない」というわけだったからか、それとも米国から当然にもあり得る(外交はワシントンの専管事項ゆえ)警告でも、やんわりあったか、5月13日辺りに総理との面会が実現しそうなはずだったのが、確たる話は何も東京から伝わらず、2人の知事は2階に上げられ梯子を外された格好になった。

*1=グアムやテニアンへ在沖縄海兵隊を喜んで受け入れましょうと言った後、2人の知事は「但し」として、「provided both territories are consulted and given financial assistance to pay for the relocation costs and to pay for the impacts on infrastructure such as power, water, roads, hospitals, schools, public safety impacts, as well as impacts on the environment」と言った。つまり地元としっかり話をした後、基地以外のインフラ整備が十二分になされるのなら、その限りにおいて歓迎しよう、というわけである

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谷口 智彦 Tomohiko Taniguchi

日経ビジネス誌主任編集委員などを経て2005年8月~2008年7月外務省外務副報道官。記者時代に米プリンストン大学フルブライト客員研究員、上海国際問題研究所客座研究員、米ブルッキングズ研究所招聘給費研究員、ロンドン外国プレス協会会長など歴任。現在慶應義塾大学大学院 SDM研究科特別招聘教授、明治大学国際日本学部客員教授など。

 


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移り変わる世相を映し、次々生まれては消えてゆくのがbuzzword(話題の流行語)。このコラムでは国際情勢に精通した筆者が、海外で静かに話題に なっているbuzzwordから激変する世界情勢を読み解く。隔週木曜日掲載。

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