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金融市場異論百出

日米英にも市場攻撃の不安
長い長い財政問題解消の道

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2010年6月2日
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 5月下旬からロンドンに来ている。秋頃まで東京とのあいだをたびたび往復することになった。動きの激しい欧州情勢もこのコラムで紹介していきたいと思っている。

 5月25日の英「インディペンデント」紙は1面に不思議なイラストを掲載していた。「1ビリオン(10億)ポンド」と書かれた小さなブロックが、893個積み上げられた山が描かれている。合計8930億ポンドだ。これは英政府のネット債務残高を意味している。

 5月24日に英政府は「過酷な62億ポンドの歳出カット」を宣言した。ギリシャ問題は英政府にも危機感を与えている。

 ドイツ、フランスといったユーロ圏の大国が歳出削減に動き始めたなか、より財政状況が悪い英政府の対応が遅れたら、市場の攻撃が英国債に向かう恐れがあるからだ。

 先のイラストをよく見ると、山の右下に6個だけ赤く塗られたブロックがある(芸が細かい)。今後行われる「過酷な歳出カット」のぶんである。だが、それは893分の6だ。この支出削減は長い長い財政再建プログラムの始まりにすぎないと同紙は皮肉っている。

 ロンドンの人びとに聞いてみると、「行政サービスがあちこちでカットされそう」「年金の給付開始時期がいずれ遅くなるのではないか」といった心配が聞かれる。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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