レンタルを活用し
最新建機を導入

 ICT建機の開発では、日本はトップランナーである。13年に発表された全自動ブレード制御機能を搭載したICTブルドーザーは世界初の製品として注目を集めた。国内には約85万台の建機が稼働しているためICT化の割合はまだ低いが、最大の発注者でもある国交省がi-Constructionを推進する姿勢を明らかにしたことで、今後急速に普及が進みそうだ。

「ただICT建機は従来の建機に比べて価格が高く、中小の建設業者の負担は重くなるでしょうが、レンタル機材を活用するといった方法などでも対応できそうです」(家入氏)。機材のコストが上昇しても、工期の短縮や人件費の削減といった別のコストは大幅に削減できるため、帳尻は十分に合うはずだ。

 人材の育成もICT化に沿った内容に変えていかなければならないが、各建機メーカーの教習所を活用して技術を習得するといった対策が考えられる。ICT建機の操作は容易といわれる。工事現場での仕事が未経験の女性社員が教習所に3日間通い、本来は熟練作業員が手掛ける法面工事(人工斜面を造る工事)を完成させた例もある。「ベテランの技に及ばない部分をICT建機がカバーしてくれる」(家入氏)わけだ。もちろん熟練作業員が操作すれば、より完成度の高い法面に仕上がるが、慢性的に人手不足の現場ではICT建機の導入は不可欠である。

 今後はICT建機が増えるとはいえ、現状の建機も十分に高性能である。「安全対策や排ガス対策の分野でも日本製建機は先進国の厳しい基準をクリアしています。耐久性も高く、世界の中古市場でも人気です」と家入氏。

 世界の建設現場で活躍する日本製建機。進化を止めない日本の建機メーカーは建設プロセスそのものを大きく変えようとしている。