読書ポートフォリオで「何を」読むのか時間配分する

 本の第1章でまず紹介するのが「読書ポートフォリオ」です。ポートフォリオとはもともと、紙の書類(や現金)を入れるジャバラ式の容れ物や平カバン。書類を取引先別とか、時系列で分類して、入れていきます。そこから転じて、その集められた資料や情報そのものを意味するようにもなりました。

 資産が1000万円あったなら、1割は手元に現金で、5割は手堅く債券投資し、残り4割はリスクが大きい(そしてリターンも大きいかもしれない)株式投資をする。そういった分類・配分がされたものが、資産運用ポートフォリオと呼ばれます。

 ポートフォリオを阻む目的は、リスクとリターンのバランスを自分なりに取ることです。でもひとつの金融商品だけでそれは達せされないので、いくつかのものを組み合わせていくわけです。

 読書も同じ。目的は、自分のオリジナリティを時間効率よく構築することです。でも1種類の本だけではそれは達せられないので、自分なりの分類・配分をしていかなくてはなりません。

【軸1】……【ビジネス系】(今の仕事)の本か、【非ビジネス系】(趣味や将来の仕事)の本か
【軸2】……【基礎】か【応用】や【新奇】か

 年間100冊読める時間があったなら、5割はビジネス系に、残り5割は非ビジネス系に振り分けましょう。私の場合、ビジネス系の中では、基礎に2割、応用に8割。非ビジネス系の中では基礎ジャンルに7割、新奇ジャンルに3割といった感じです。

 もちろんこれも、人次第。自分のオリジナリティを時間効率よく構築するために、どんな割合がベストなのか、試しながら決めましょう。

読書ポートフォリオを時間(成長)とともにシフトさせる

 この読書ポートフォリオは、人次第でもありますが、「キャリア段階」次第でもあります。新入社員とベテランでは当然違いますし、キャリアチェンジを図るときも、違ってくるでしょう。第1章の後半では、そんな読書ポートフォリオの「シフト」を語ります。

「何を」「いつ」「どう」読むか?<br />コモディティにならないための<br />「戦略読書」のススメ〔出所:『戦略読書』三谷宏治〕

(1)社会人1年目
【ビジネス系】にほぼ100%投入。【基礎】10冊と【応用】90冊

(2)社会人2~3年目
【ビジネス系】と【非ビジネス系】を1対1に。【ビジネス系】では【基礎】から【応用】にシフトし、「基礎2」対「応用8」。【非ビジネス系】では、【新奇】は1割ほどでOK

(3)社会人5~10年目
 このあたりで己の殻を破り、幅を拡げるために【非ビジネス系】、特に【新奇】を増やす。【非ビジネス系】6割で、「基礎5」対「新奇5」程度に

(4)キャリアチェンジ準備期
 挑戦領域のものを【ビジネス系】として定義し、まずそれに集中し、(1)→(2)へと回す。つまり1年間は新キャリア領域のものを徹底して読む

 ここで示した配分やシフトのタイミングは、あくまで一例に過ぎません。もっと早くこれらをこなす人もいるでしょうし、遅い人もいるでしょう。自分に合わせて調整してみてください。

 そのために必要なのが、読書に対するメタ認知能力です。

・自分の読書ポートフォリオ状況(何を読むのか、読んでいるのか)を常に意識・把握する
・それを自分の成長や、そのときのキャリアの方向性と合っているかどうかを確認する。ズレていれば修正する

 ことを半年に1回くらいでいいので、意識・実行しましょう。読んだ本や読む予定の本の管理をちゃんとやりたい場合には、Webやスマートフォンアプリの「ブクログ」や「ぶくめも」なんかが便利でしょう。私は使っていませんけれど……。私は本棚派なのです!(連載第7回で紹介します)