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「究極の品質」から「感情」へ
日本発の世界ブランドが挑むマーケティングの模索

レクサス|ブランド・マーケティング

河合起季
2015年12月21日
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機能価値の追求だけでは
ブランドを発展できない

 だが、2000年頃から、そうした機能価値の追求だけではブランドの発展は難しいのではないかという議論が出始めたという。

 「背景には、富裕層のクルマ選びが『他人基準』から『自分基準』に変わったことがあります。“見栄え”や“ステータス”より、自分のライフスタイルに合うこと、運転している時の心の豊かさ、内装が素敵なことなど、クルマに求める基準がよりエモーショナルになってきました」

 つまり、いまや高級車オーナーにとってクルマは“自己表現の一つ”になっているということ。だから、「新しいデザインのクルマが出たからぜひ見てほしい」「この機能が競合メーカーより優れている」などと言っても見向きもされない。

 「お客様は、どのクルマを買うかよりも、人生をより楽しむために今、クルマを買うべきか、それともクルーザーを買うべきかといった選択で悩むんですね」(高田氏)

 そうした中で選択候補に挙がるためには、単なる高級車レクサスではなく、レクサスならではのブランド価値を訴求していかなければならないというわけだ。

スピンドルグリルを
レクサスの“顔”に

2012年からレクサスの全車に採用されている「スピンドルグリル」。文字通り「糸巻き」の形がモチーフである
(写真提供:レクサス)

 そこでレクサスは2012年に、今ではレクサスの“顔”ともなっている個性的な「スピンドルグリル」の採用に踏み切った。

 「グローバルなマーケットで認められるにはフロントグリルに“高級車的なアイコン”が必要というのがデザイナーの結論でした。アウトバーン(ドイツの速度無制限の高速道路)を走っていて、後ろからBMWが来たら誰にでもわかるように、『レクサスが来た』とはっきりわかるアイコンをつけたわけです」

 最近のレクサスは、乗り心地だけでなく、“走りの味”でも個性を追求している。サウンドジェネレーターという機能を使えば、静粛性を極めた室内に心地よいエンジン音を響かせるといったこともできる。

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顧客の創造とは、自社の顧客基盤を拡大することである。そのためにはマーケティングとイノベーションが不可欠である。顧客第一主義や顧客のセグメンテーションへの盲信から抜け出し、イノベーションを軸に顧客との新たな関係性の構築をすすめる企業と、マーケターの考え方を探る。

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