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たった1件の苦情で発売延期「うどんかるた」になんだかなあ

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第141回】 2015年12月19日
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 やり直すことになった新国立競技場のデザインコンペには、ふたつの企業グループから設計・施工の応募があった。大成建設・梓設計・隈研吾氏(建築家)のチームが応募したデザインを「A案」、竹中工務店・清水建設・大林組・伊東豊雄氏(日本設計・建築家)チームのデザインを「B案」と分け、事業者は年内に決定の運びになったが、またぞろ、あのサメの脳みそが言わんでもいいことを言って物議を醸した。

 「ぼくはB案のほうがいいと思うね。いかにもスポーツの雰囲気が出ている。ギリシャの神殿みたいな感じですね」

 立場をわきまえないあたり、虚けの本領発揮と言っていいのだろうが、東京五輪組織委員会の森喜朗会長である。この人は昨年のソチ五輪、浅田真央選手の演技に「あの子は大事なところで必ず転ぶ」と発言し大顰蹙を買ったが、ご本人は「大事なときに必ず失言する」性癖の持ち主でもある。

 「A案はASEANの国のお城や古墳。この中でスポーツ大会をやっているという明るさがない感じかな」

 おばかさんはA案をこう評した。ほんとにおばかさんなのである。

 だが、今月一五日、都内で開かれた日本トップリーグ連係機構の会合で、森会長は「(森会長本人が)迷走の原因」と思われている風潮に強い不満を示したらしい。何もわかっていないおめでたい会長は、旧計画に関する文部科学省の検証委員会が、

 「私を犯罪人にしようとした」

 と息巻いたのだとか。実に、おめでたい。そして、B案発言についても――、

 「メディアが俺をはめてやがると思った。私に決める権限はなく、組織委は使わせてもらう立場。それが、あたかも国立競技場を作って何かするのが俺だとみんな思っている」

 俺と私をちゃんぽんにしている時点でお里が知れるが、ラグビーW杯を新国立競技場でやりたがった森会長のゴリ押しが紛糾の原因だったことは日本国民はみんな知っている。国立競技場の問題では、日本スポーツ振興センター(JSC)は河野一郎理事長と下村博文文科相らに監督責任があるとする報告書をまとめ、河野理事長は退任し、下村文科相は更迭された。

 にもかかわらず、森喜朗氏だけは、何故か何でかどーいうわけか、何のお咎めもなく会長の椅子にふんぞり返っている。どんなに問題発言を繰り返しても、森喜朗氏は責任を取ることがない。ホワイ? そんなに大勲位が欲しいんですか、森サン?

 アスリートは日々の厳しいトレーニングに耐え奮励しているのに、上層部にはスポーツマンシップもなければフェアプレイの精神もないらしい。あるのは権威主義としがらみだけか。新国立競技場がB案で決まったら、私のみならず、多くはやっぱり森サンがゴリ押ししたと思うだろう。新国立競技場のテーマは『杜(もり)のスタジアム』だが、正しくは『森のスタジアム』だ。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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