社会保障増大がいずれは
ドルの信頼性低下を招く

ただ、今後選択肢が広がれば、アメリカ国内の政治的混乱は、アメリカ自身にもっと大きな代償をもたらすだろう。アメリカ議会予算局(CBO)は、何らかの措置(つまり社会保障費と医療費を減らすか、歳入を増やすか)を取らなければ、2038年には政府債務がGDP比100%に達すると試算している。

しかし財政健全化措置が取られなければ、もっと早い段階で米国債の投資家は懸念を深めるだろう。長期金利が上昇して、財政赤字と債務問題が悪化――これはアメリカが避けなければならない悪夢のシナリオだ。

投資家の忍耐がいつ限界に達するかはわからないから、なおのこと恐ろしい。投資家にそっぽを向かれたら、アメリカ人の暮らしや世界における地位が大打撃を受けるのは間違いないだろう。

 

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