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医療が危ない!

超高齢化社会の救世主となるか?
医師の負担を軽減する「特定看護師」制度の行方

井家真人
【第5回】 2010年6月10日
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 医師の負担を軽減し、医療の質の向上につながるとして、「看護師の役割拡大」についての議論が行われている。ただし、この議論は、役人や一部の医療従事者の間では昨今話題になっているものの、一般の国民にはほとんど知られていないのが現状だ。今回は、この「看護師の役割拡大」という議論が生まれた背景とその実現に向けた課題について考えていこう。

「医師の負担軽減」と「安全性の確保」で揺れる
『特定看護師(仮称)制度』の導入

 厚生労働省は、看護師が担う医療行為の範囲を広げる「特定看護師(仮称)制度」の導入に向けて、具体的な検討を始めている。これは、現在の保健師助産師看護師法(保助看法)に則った看護師の役割を拡大し、チーム医療を推進するキーパーソンとして医師の「包括的指示」の下、一定の医行為を行う看護師を創設しようとするものである。

 米国には、『non-physician clinician』や『mid-level provider』と呼ばれる医師以外にも高度の技術を持って独立した立場で患者を診ることのできる医療職がいくつかある。その中に、看護職から発展して医療行為の一部を行うことができる『Nurse Practitioner(NP)』という職種が存在する。約2年間、希望する専門分野の教育を受けた後、NP修士号を取得し、国家試験に合格した者がNP免許を申請し、即戦力として臨床現場で働いている。

 一方、現在日本で議論されている特定看護師は、「医師の包括的指示の下」という要件が必要な点で米国のNPとは異なると言えよう。

 特定看護師の要件としては、(1)看護師免許を持つ(2)看護師として一定期間の実務経験(3)新たに設ける第三者機関が認定した大学院修士課程終了後に第三者期間による知識・能力の評価を受けた等を満たすこと、が検討されている。これらの要件を満たした看護師は、エコー、胸部単純X線撮影や読影の補助といった検査や、深部に及ばない創部の切開、縫合等の創傷処置、患者の状態に応じた薬剤の選択・使用など、これまで以上の広範囲な医療行為ができることになる。

 厚労省は、今年度からはじめるモデル事業を踏まえ、安全性が評価された場合は保助看法を改正し、特定看護師の医行為を法律上で明確に位置付けるとしている。医師が行っている業務の一部を看護師が行えるようになれば、医師の負担が軽減されることは間違いないが、安全や質について十分に担保されなければならないなど、課題も残されている。

“グレーゾーン”はなくなるのか?
看護師の業務実態

 看護師の役割拡大については、これまでにも議論されたことがある。2002年に厚生労働省医政局長通知により、医師の指示に基づいて看護師が行う静脈注射は、『保助看法第5条』に規定する「診療補助行為の範疇」として取り扱われるようになったケースである。2002年まで静脈注射は看護師に許可されていない医療業務であったが、約50年ぶりに法解釈が改定されることによって、看護師も行うことができるようになった。ただ、その当時の臨床現場でも看護師が点滴や注射をすることは日常化しており、医師と看護師の“業務のグレーゾーン”が存在していたという現実がある。

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