業態開発から関わり
「四毛作」のスペインバルを設計

 店舗設計では業態開発から関わるケースもある。八重洲地下街のスペインバル「アンクラー」がそれだ。八重洲地下街の中でも地上に飲食店が多く、地下に飲食店が少ない北口通りの一角。事業主の要望は、目的を持った客が集まる店舗づくりだった。ここでも客足を追跡する調査を行った。

スペインバル「アンクラー」はスペイン語で「いかり」を意味する。「打ち合わせ」にも「居酒屋」にも利用でき、個人でもグループでも対応が可能だ

 地上に飲屋街があって居酒屋は競合する地区、早朝はバスの利用客が通り、打ち合わせ用のカフェが少ない。そうした分析の結果、提案したのは「四毛作」のできる店舗だった。

 朝は出勤前のモーニング、昼は打ち合わせ用のカフェ、夜はグループで飲める居酒屋、それにスペイン菓子のチュロスを物販する。人の流れを考えて出入り口の位置を考え、カウンター、テーブル、ボックス席を効率的に配置して、利用者のニーズを汲み取った。

「事業コンサル会社と違って当社のようにデザイナーとして相談に乗れる強みは、例えば店舗のテーブルや椅子の数や配分と、客単価がどう繋がるかを理解している点にあります。さらに消費者目線を持っていること。その2つの視点でデータを取り、分析して提案を行うため、“なぜそのような店舗にするのか”というロジックが分かりやすく、お客さまの社内でのプレゼンもしやすく、かつ修正点も見つかりやすい、という評価をいただいています」