株式レポート
1月12日 11時43分
マネックス証券

雇用は抜群!でも・・・ - 米国マーケットの最前線

非農業部門雇用者数(前月差) 12月 +29.2万人 市場予想 +20.0万人 前月 +25.2万人(上方修正)
失業率 12月 5.0% 市場予想 5.0% 前月 5.0%
U-6失業率 12月 9.9% 前月 9.9%
平均時給(前年比) 12月 2.5% 市場予想 +2.7% 前月 +2.3%

■総じて堅調だった雇用統計

8日発表された雇用統計は、改めて米国労働市場の好調さを確認させる堅調な内容だった。非農業部門雇用者数は前月差29.2万人増と、市場予想およびマネックス証券予想の20万人増を大きく上回った。過去分は、11月分が+21.1万人から+25.2万人に、10月分が+29.8万から+30.7万人と計5万人上方修正された。失業率および正社員を希望しながらやむを得ずパートタイマーとして働く人々を失業率にカウントしたU-6失業率はそれぞれ前月から変わらず、5.0%・9.9%となった(グラフ参照)。

将来のインフレ圧力となる平均時給も前年比2.5%の上昇と市場予想の2.7%上昇には及ばなかったものの、前月の2.3%から伸びが加速した(グラフ参照)。また、労働参加率は62.6%と8月以来4ヶ月ぶりの水準まで回復した。

■雇用統計後の市場の反応

好調な雇用統計の結果を受け、発表直後こそ米国の2年債利回りは1%超まで上昇、ドル円は118円台後半まで円安ドル高に振れた。ただ、マーケットのリスク回避ムードは根強く、その後は徐々に金利が低下し、ドル円は117円台前半まで大きく円高に振れた(グラフ参照)。

前回のレポートで、リスクオフムード一色なっている市場のムードを変えるには雇用統計ではインパクト不足であり、発表直後はドルが上昇しても118円台では上値が重くなるのではないかと記したが、概ね想定通りの値動きとなった。

■米国株の短期・中期見通し

筆者が独自に算出しているS&P500の騰落レシオは足下で77.9%まで低下しており(グラフ参照)、短期的に売られ過ぎの水準まで来ている。ダウ平均は12月29日の終値1万7720ドルから11日時点で1万6398ドルまで1,300ドル以上下落しており、短期的には売られすぎからの反発が期待できるだろう。

一方、数ヶ月単位でみるとダウ平均が1万8000ドル、S&P500が2,100ポイントを超えて史上最高値を再び更新することはかなり難しいのではないかと考えている。その理由は前回のレポートにも記したように、米国経済の勢いに陰りが見られることだ。もちろん前述したように米国の労働市場は非常に好調で、米国経済が大幅に失速することは考えづらい。しかし、後述するように企業業績も冴えない見込みの中で、ゆっくりとはいえ今後も断続的な利上げが控えているとあっては、米国株が大きく上昇していくシナリオは描きにくい。

■10-12月期は4.2%減益の見込み

トムソン・ロイター社の1月8日時点の調査によれば、10-12月期のS&P500採用企業の利益は前年同期比4.2%の減益となる見込みである。本調査は毎週発表され、企業の発表が進むと上方修正されていく傾向があるとはいえ、それでも2四半期連続で前年同期比減益となる可能性が高いだろう。

セクター別に見るとやはりコモディティ価格の下落によって、エネルギーセクターや素材セクターが足を引っ張る見込みだ。それ以外にもテクノロジーや公共事業など10業種中6業種が減益になると予想されている。中国経済の成長鈍化や相次ぐ地政学リスクの台頭という流れのなかで、企業業績の伸びが見込みにくいとあっては米国株に本格的な買いが入るとの想定はやや無理筋だろう。

さらに、現在の米国株のバリュエーションもさして割安といえる水準ではない。昨年春頃にイエレンFRB議長やかのウォーレン・バフェットが「米国株は割高である」という趣旨の発言を行ったことは記憶に新しい。バリュエーションの割高さが解消されるには、企業の利益が増えるか株価が下がるかが必要になるが、そのどちらも大きく進んだわけではない。現在のS&P500の予想PERは15.5倍と割高とも割安とも言えない標準的な水準である。米国経済に好転が見られるまでは、S&P500は予想PER16倍強の2,000ポイント程度が上値メドになるのではと考えている。

■用語解説

雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

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(マネックス証券)


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