開館後も継続的に
博物館の活性化をサポート

 企画展の新しい試みとして、アースモールに面して、「ぽけっとミュージアム」と呼ばれる30平方メートルほどの小さな展示スペースが9つある。ミュージアムの学芸員がそれぞれのスペースを担当し、あたかも商業店舗のショーウインドーのような窓で、自分の商品(展示品)をアピールする。利用者の人気など反響がつかみやすいため、学芸員の展示へのモチベーションにもなっているという。

「もちろん、文化的価値をいかに分かりやすく伝えるかもミュージアムの大切な役割で、『いのちのたび博物館』においても、実物資料から中生代の様子を復元した360度体感型のジオラマを導入するなど、興味関心を持ってもらえる工夫を各所で行っています」

 丹青社は、「いのちのたび博物館」のオープン後も、定期メンテナンスの他に、ユニバーサルミュージアム事業のためのワークショップ、企画展のデザインを一部手掛けるなど、継続的に館の活性化をサポートしてきた。

 そして2013年のリニューアルも担当。ワーキンググループを設置し、学芸員からのヒアリングを行いながら5年に渡る検討を重ねてミュージアムの進化計画を策定した。その結果、展示物の刷新や拡充、映像など新たな演出の導入、展示スペースの拡張を実現。事業主の課題である館の継続的な活性化にも、積極的に関与しているのである。

文化的価値をいかに分かりやすく伝えるか。<br />利用者に主体的に施設づくりへ<br />いかに参加してもらうか。<br />文化空間の新しい形を創造する100メートルに及ぶ「アースモール」には、大型恐竜の骨格標本を展示し、来場者に強烈なインパクトを与える。一方館内に設けられた「ぽけっとミュージアム」では、「絶滅動物」「甲虫の世界」など絞り込んだテーマにスポットをあてる。まるで商業施設のモールのような構成で、3つの博物館を集約させた(撮影:フォワードストローク)