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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

中国上海株大暴落は
人民元が基軸通貨になるための“洗礼”

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第27回】 2016年1月20日
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 中国の金融市場、特に上海株が大きく荒れています。上海株は今年に入り2割弱も下落し、大暴落といった様相を呈しています。中国はこうした金融の混乱に慣れていないため、金融当局もサーキットブレーカー(市場に冷静さを取戻させるために一時的に取引を停止する制度)の運用を停止するなど混乱しています。残念ながら、市場が安定する気配は感じられません。

 実は、中国金融市場大暴落のカギとなっているのが、国際通貨、そして基軸通貨への道を歩み始めた「人民元」です。今回の混乱は、世界の投機筋にまたとない好機を与えているのです。

 現在、中国は“100年”と“30年”の2つの大きな長期的経済計画を進めています。1つは国家創設100年の2059年に「世界一の経済大国」になるという“100年計画”です。中国は、経済規模(GDP)ではすでに日本を抜いて世界第2位になっています。そして、もう1つは「人民元を基軸通貨」にする“30年計画”です。実体経済のみならず、金融経済においても世界一になろうということです。しかし、この人民元の基軸通貨化が、今回の中国の金融混乱を拡大させている可能性が高いのです。

人民元安になると上海株は下落する

 人民元と上海株の関係の特徴は、日本円と日本株の関係とは違います。日本円と違い、人民元安になっても上海株は上がりません。それどころかさらに下がります。資本が流出しているということで、さらに上海株が下落するという相乗作用が起こるのです。それに加えて、中国の大企業には外貨建て借金(債権)が多く、人民元安になると負担が増え経営が悪化します。

 そのため、当局は上海株市場よりも、まずは人民元の為替市場の対応に注力していますが、今回は以前のように大量の介入等はできなくなっています。それは、人民元を基軸通貨にしようとしているからです。

 中国は人民元を基軸通貨にする中間目標として、IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)のバスケット通貨SDR(Special Drawing Right:特別引出権)の構成通貨になることを実現しました。構成通貨になる条件は、通貨が使われている規模と、自由な国際通貨であることです。規模の面は問題なかったのですが、国際通貨の条件を満たしているかどうかということが問題になりました。

 その国際通貨の条件とは、具体的には、金融市場の自由化、資本移動の自由化、市場実態への合致化等であり、いわゆる「自由化」です。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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