ジャッキー・チェンの最新自伝『永遠の少年』邦訳版がついに刊行! 挫折と成功、命がけの撮影、切ないロマンス、黒社会との関係、浮気と隠し子問題、息子の大麻事件、引退や生死について等々、これまで語られてこなかった秘密エピソードが満載です。本連載では、映画を超えるような彼の人生を同書から抜粋して紹介します。第6回は愛妻とのドラマチックな関係について!

若きジャッキーは女優ジョアン・リンと出会い、その美しさと穏やかな人柄に魅了される。ジャッキーはさまざまなアプローチを重ね、2人は相思相愛の間柄になる。しかし当時、ジャッキーはすでに大スターになっており、恋愛もままならない状態だった。苦労の末に結ばれた2人だが、その結婚生活には暗雲が立ちこめてきた。

結婚への障害

最愛の妻ジョアン・リン。『ライジング・ドラゴン』のワンシーン

 2人のことはすぐにゴシップの種にされた。この関係を喜ばない人が多かった。彼女のように清純なイメージがあり、みんなに愛されている女優と、スタントマン上がりの田舎者との組み合わせは、たしかに釣り合わないように見えるかもしれない。

 もっと恐ろしいことに、ある日本のメディアが2人はすでに結婚していると記事にしたせいで、立てつづけに2人もの日本人の女性ファンが自殺してしまった。そのことに衝撃を受け、この類の噂話がジョアンやファンの人たちに悪影響を与えつづけるのではないか、と心配するようになった。いま考えると、もし当時のメディアがいまのように発達していたら、ジョアンとはとっくに別れていたかもしれない。

 ちょうどこの頃、彼女は、妊娠したことを告げてきた。子どもがほしい、と言うと、彼女は、わかった。あなたのためにも、この子を産むわ、と言った。

 じつを言うと、当時は動転していて、どうしていいのか分からなかった。結婚のデマだけで、ファンが自殺している。妊娠のことが世間に知られたら、何が起こるのか想像も出来ない。

 親分のレナード・ホーにアドヴァイスを求めた。彼は、まずジョアンをアメリカに行かせ、そこで子どもを産んでから考えたほうがいい、と言った。彼女に相談すると、反対はされなかった。彼女はちょうどいちばん売れていたときだったが、すべてのオファーを断って、アメリカに行った。撮影の真っ最中だったから、そのときのマネージャーを付き添わせるしかなかった。

 彼女を落ち着かせると、マネージャーは帰ってきた。彼女は1人だけで向こうにいる。周りに面倒を見てくれる人は、誰もいなかった。