この二つのデータを並べて見てみると、自分にしろ、親にしろ、「普通にしていれば80歳ぐらいまでは生きるだろう」と考えている人が結構な数いて、だから葬式について話をしていなかったり、老後の準備をしていない70代も多いのでは、という推測ができる。「まだまだ猶予はある」と私だって思ってしまう。しかし、見落としているものはないだろうか。平均寿命が80歳といっても、必ずしも80歳で亡くなるときまで元気だとは限らない。そう、健康寿命のことだ。

 健康寿命という言葉は2000年に世界保健機関が生み出したもの。介護を必要とせず、自立した生活を送ることができる期間を指す。厚生労働省が発表している最新の平均寿命と健康寿命を見てみよう。

 男性の平均寿命は80.2歳、健康寿命は71.2歳。女性はそれぞれ86.6歳、74.2歳となっている。男女ともに3年前のデータと比較して、健康寿命の改善が見られるが、それでも男性は約9年、女性は約12年半と結構なギャップがあるのだ。「まだまだ大丈夫」と高をくくって準備を先延ばししてもいられないのではないだろうか。

 最後に、1月ならではのデータを見てもらおう。今年の三が日に都内で餅をのどに詰まらせ、救急搬送された人が19人。そして7人が死亡している(東京消防庁などが発表)。介護職の人材紹介サービスを展開する株式会社ウェルクスによる調査では、「もし介護が必要になったあなたの親が『お餅を食べたい』と言われたら、お餅を食べさせてあげたいですか?」という問いに対し、「食べたいものは食べさせてあげたい」と74.2%の人が答えている。

 高齢者ほど唾液の分泌能力や嚥下能力が落ちていて、餅を詰まらせやすいという話は聞いたことがあるだろうが、それでも希望は叶えてあげたいと考える人が多いようだ。ただ、高齢の親に餅を食べさせる前に、あるいは高齢になった自分が餅を食べる前に、いろいろな準備ができているかを確認しておいたほうがよさそうだ。餅を目の前にして、「エンディングノートは書いた?」と聞くのも、なかなか難しそうではあるが。