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佐高 信の「一人一話」

今、なお、国を憂う
「ヨイトマケの唄」美輪明宏の存在感

佐高 信 [評論家]
【第38回】 2016年2月1日
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 ジャーナリストの筑紫哲也、悪役が似合う個性派俳優の成田三樹夫、そして美輪明宏が同じ1935年生まれである。筑紫と成田は既に亡くなり、いま、美輪だけが健在で、艶然と微笑んでいる。

 美輪とは何度か対談したが、2013年の全国縦断コンサートのためのパンフレットの対談相手に指名されたのは光栄だった。

「心の中に、差別の意識があるから、差別に聞こえるんだ」

 その前年の大晦日の「紅白歌合戦」で美輪が歌った「ヨイトマケの唄」は、特に若者たちに衝撃を与えた。

 美輪が作詞作曲のそれは、

 ♪父ちゃんのためなら エンヤコラ
  母ちゃんのためなら エンヤコラ
  も一つおまけに エンヤコラ

 と始まる。

 姉さんかむりで、泥にまみれながら、土方として働く母親の姿に励まされたという歌だが、美輪の圧倒的な存在感は、とりわけ若者の全身を揺さぶったのである。電気ショックを与えられたと言ってもいいだろう。

 「あまりの反応のすごさに、逆にこちらが衝撃を与えられました」と美輪は笑っていた。

 歌い終わったとたん、ネットに火がついた。悪口しか書かれない「2ちゃんねる」でも絶賛されたのである。

 「いままで親不孝していたことに気づいて親孝行しようと思いました」とか「金髪の変なオカマだと思っていました。スゴイ人だったんですね。ごめんなさい」とか、いろいろ書き込まれていた。

 中には「バケモノ、死ね」といったものもあったが、そうクサしている人を「そういう根性の曲がったやつには、この歌の良さはわからんだろう」と批判している書き込みもある。「本当におもしろい時代になったものだ」と美輪は思った。

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佐高 信 [評論家]

さたか・まこと 1945年山形県酒田市生まれ。評論家、『週刊金曜日』編集委員。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし、会社・経営者批評で一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本のについて辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(岸井成格さんとの共著、毎日新聞社)、『飲水思源 メディアの仕掛人、徳間康快』(金曜日)など。


佐高 信の「一人一話」

歴史は人によってつくられる。ときに説明しがたい人間模様、ふとした人の心の機微が歴史を変える。経済、政治、法律、教育、文化と幅広い分野にわたって、評論活動を続けてきた佐高 信氏が、その交遊録から、歴史を彩った人々の知られざる一面に光をあてる。

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