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男性議員の育休問題を提起した宮崎謙介氏の「品格」

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第146回】 2016年1月30日
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 過日、琴奨菊関が日本出身力士としては、実に十年ぶりとなる優勝を果たした。

 三十一歳にしての初優勝といい、昨年の入籍(と場所後の披露宴)と相まって、たいへんめでたいニュースとして伝えられた。

 が、優勝会見での琴奨菊関と夫人である。これまでは報道陣に囲まれる機会もなく取材慣れもしていなかったからだろうが、記者の言いなりに夫人とのキスの写真を撮らせていた(夫人がほっぺにチューしてるやつ)。

 〈カメラマン氏から夫人には「お祝いのキスを」なーんておねだりも。
 はじめは“いやいや~”と苦笑いした大関も、
 「ほっぺでいいんで……」と押され、ついに、照れる夫人が頬に、チュッ。
 「もう一回お願いします!」
 で、二回目の、チュッ(後略)〉(週刊新潮2月4日号より)

 琴奨菊関は、次の春場所が綱取り(横綱になれるかどうかが試される場所)になる。初優勝はたいへんめでたいし大したものだが、横綱になろうかという関取のキスは、実にはしたなく、下品だ――、なんて思ったのは私だけかもしれない。そんなはしたいないことはできない、と毅然と突っぱねるのが綱取りの風格だと私は思うのだが。

 琴奨菊関のチューに関しては、やくみつるもデーモン閣下もノーコメントだし、相撲協会からのお咎めもない。佐渡ヶ嶽満宗親方も怒ってないみたいだから、注射さえしなければ、お相撲さんはカメラの前でチューしても問題ないのだ(注射 → 八百長のこと。相撲業界の隠語。ほんの五年前までほとんどの力士がやっていたと噂される)。

 でも、私は下品な横綱は見たくない。

 もっと言わせてもらえば、現役横綱がCMに出ることにも、親方がバラエティ番組に出演することにも私は首を傾げている。特にバラエティ番組に出てタレントにツッコまれ笑われている親方を見ると、この人たちは日本の伝統を汚そうとしているのか、と思ってしまうのだ。この親方の部屋はたいしたことなさそうだとさえ感じてもしまう。

 近寄りがたいほどの威厳と風格があるからお相撲さんだと私は思っていたのだが、協会からして悪魔に解説を頼むくらいだから、自称「日本の国技」にはもう権威も誇りもないようだ。とどのつまりは、客さえ入ればいいという考えなのだろう。

 下品と言えば、今年の大河『真田丸』に出演している高畑淳子サンという女優さんの演技だ。高畑サンご自身が下品なのか彼女の演技が下品なのかは私の口からは言えないが、『真田丸』では、堺雅人くん演じる真田幸村の母親役を演じておられる、のだが、高畑サン演じるこの母親は、気に入らないことがあれば所構わず叫きちらし、武家の嫁なら備えているはずの凛とした気高さをこれっぽっちも持ちあわせない下品な女なのである。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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