リーダーの最も大切な仕事は
「目的」をつくること

株式会社エー・ピーカンパニー(本社 東京都)は、「塚田農場」「四十八漁場」などの居酒屋チェーンを全国に展開する会社です。偶然にもその数ヵ月前、同社の創業者で代表取締役社長の米山久さんには、「社長トーク」に出演いただいていました。

アルバイトの女性から「エー・ピーカンパニー」の名前を聞いたとき、私は「なるほど!」と思わず膝を打ちました。彼女の振る舞いや「生産者さんに感謝しながら働いている」といった言葉が、米山さんから伺っていたお話と、見事に符合していたからです。

エー・ピーカンパニーの特徴は、食品の生産(一次産業)から流通・加工(二次産業)、販売(三次産業)までを一貫して手がけるビジネスモデルにあります。同社ではこれを「生販直結モデル」「六次産業化」などと呼んでいます。
宮崎県の地鶏農家さんと出会った米山さんが、「日本の食文化を支える生産者さんたちのために、自分にできることは何か?」と自問自答するなかから、このビジネスモデルは生まれました。
実際、「一次産業の方々の生活をもっとよくしたい」「後継者に困らない環境をつくりたい」「地方の活性化を目指したい」という米山さんの思いが、お店の隅々にまで行きわたっています

エー・ピーカンパニーには、この記事が主題とするリーダーシップの典型を見てとることができます。
現場で働く人たちの「マニュアルに収まりきらないアクション」の根本にあるのは、米山さんというリーダーが打ち出した「ビジョン」です。ビジョンとは、ひと言で言えば「働く目的」です。ビジョンがそれぞれのメンバーに浸透しているからこそ、それが現場での行動となって現れる。

リーダーの最も大切な仕事は、ビジョンをつくり、それをメンバーに浸透させることなのです