リーダーの生き方がビジョンになる

「ウチに入った以上、社員には幸せになってもらいたい。料理人になれば、1日も早く一人前の料理人になりたいと思うから、そういう環境を用意する。一人前になれば、シェフになりたいと思うから、1軒の店を用意する。シェフになったら、今度は少しずつ豊かになっていきたいと思うから、そのための方法を教える。『こうやって1軒の店で利益を出していけば、きみの給料も上がっていくんじゃないかな』という話をしながらね。

そのときそのときで、その人の幸せ感は違うだろうし、目標も違う。それをわかったうえで指導をしていくのがとても大切です。どっちにしても、目の前にいる人を幸せにするということが僕の最大の生き方ですね」

ビジョンがリーダーその人の生き方であるというのは、まさに起業家リーダーの特徴だと言えるでしょう。

組織の哲学を「翻訳」する
―サラリーマン社長の場合

会社員として出世して社長になった方は、生き方そのものをビジョンにするわけにはいかないかもしれません。

しかし入社以来、意識的にしろ無意識的にしろ、会社の哲学のようなものを先輩から学んでいるのではないでしょうか。

そして、その哲学を基にしたビジョンや経営計画に共感したり、疑問を感じたりしながら歩んできているはずです。いよいよ自分がリーダーになったときには、会社の哲学を根底に置きながら、理想とするビジョンを自らの感性に従って提示していくことになります。