「リーダー観察者」ではなく、
1人のリーダーとして

今回の本『最高のリーダーは何もしない』の企画が決まったのとほぼ時を同じくして、私は「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム リーダー」という肩書きを文科省から与えられました。

ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムの支援を得て、文科省が2020年の「東京オリンピック/パラリンピック」を見据えたキックオフイベントを2016年10月に開催することになり、下村博文前文科大臣の下でお手伝いをしていた私が、イベント準備室のリーダーに任命されたのです。

民間人として文科省に入り、馳浩文科大臣や事務次官・審議官などを上司に仰ぎながら、メンバーと準備を進める立場は、まさに「中間管理職」。20代で起業して以来、ミドルマネジャーとしての苦労をしてこなかった私にとっては、まったく新たな経験です。

その意味で、本書の執筆は、これまでお会いしたリーダーたちの言葉や姿を思い出すだけでなく、リーダーとしての私自身の日々を省みる機会ともなりました。そして実際、このプロジェクトでも、数々のリーダーたちから得た知恵が日々とても役に立っているのです。

「組織やチームが自分の指示どおりに動かない」
「現場に思いが届かなくて、自分が動き回らざるを得ない」
「リーダーになるつもりなんてなかったのに……」

そんなリーダーたちの悩みを乗り越える「発想転換」への道筋を、読者のみなさんと一緒に見つけていきたいとの願いから、今回の一冊をまとめました。

最高のリーダーは何もしない』——書店さんなどでお見かけの際は、ぜひお手に取ってみてください。

藤沢久美(ふじさわ・くみ)
シンクタンク・ソフィアバンク代表
大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。そのほか、静岡銀行、豊田通商などの企業の社外取締役、文部科学省参与、各種省庁審議会の委員などを務める。
2007年、ダボス会議(世界経済フォーラム主宰)「ヤング・グローバル・リーダー」、翌年には「グローバル・アジェンダ・カウンシル」メンバーに選出され、世界の首脳・経営者とも交流する機会を得ている。
テレビ番組「21世紀ビジネス塾」(NHK教育)キャスターを経験後、ネットラジオ「藤沢久美の社長Talk」パーソナリティとして、15年以上にわたり1000人を超えるトップリーダーに取材。大手からベンチャーまで、成長企業のリーダーたちに学ぶ「リーダー観察」をライフワークとしている。
著書に『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(実業之日本社)、『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』(ダイヤモンド社)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/kumi.fujisawa.official