メンバーとの距離を保つ

岡田武史監督は、「結婚式に参列したりしたら最悪だよ。『あいつにはあのかみさんがいるんだ』と思ったらスタメンから外せなくなる。おれ、そういうのに弱いんだよね」と言います。

ベストな決断をするために、特定のメンバーと関わりすぎないように気遣い、メンバー全員をフラットな目線で見られるようにする。リーダーにはメンバーとの距離を保つバランス感覚も求められるのです。

これも「リーダーは孤独である」という言葉の1つの側面だと言えるでしょう。

リーダーは相談で確信を深める

私がふだんお会いするリーダー、つまり企業の社長さんたちは、勉強会や飲み会、ゴルフなど、リーダー同士のコミュニケーションの場を頻繁にお持ちです。そこは、リーダーたちの自然な意見交換の場になっています。

意見交換といっても、何か具体的な課題に対しての「答え」を教えてもらおうというわけではありません。

自分の考えを固めていくための根拠を求めたり、第三者からどう見えるかを確認したりしているのです。あらかじめ「自分なりの仮説」があったうえで、それを補強する材料を集めているというイメージでしょうか。

お仕事でご一緒する経営者や「社長トーク」にいらっしゃる企業リーダーとお話ししていると、「対話における私の存在は、テニスの壁打ち用の『壁』みたいだ」と感じることがあります。

私との対話を通じて、彼らは自社のビジョンや事業内容、その意義について、自分自身と語り合っているように見えるからです。それはあたかも、自分にいちばんしっくりくるフォームを探しているテニスプレーヤーのような感じです。