リーダーに求められる「説明能力」

国民の一部には「王様が国を守ってくれればいい。民主化して選挙権をもらう必要なんてない」との声もあったそうですが、前国王は国民が納得するまで粘り強く語り続けたそうです。

「私のように国民を大切にしたいと思う国王ばかりが続く保証はない。とんでもない王が現れたときに、国民が独裁を阻止できるよう準備をしておきたい」

そうした国王の言葉にブータンの国民たちは賛同し、民主化に向けて一気に動き出しました。

いまリーダーに求められるのは、こうした「説明能力の高さ」です。

かつてはわざわざ説明などしなくても、誰もが仕事に取り組める仕組みなりマニュアルなりをつくっておき、そこに人材を当てはめて効率的に利益を上げていくスタイルが理想とされていました。

しかし、これから人を動かすのは、「誰でも読めばわかるマニュアル」ではなく、個々のメンバーの納得感・共感を生み出すリーダーの言葉です。

ここでもう1つ、なぜいま、以前にも増してリーダーの「説明」が必要になったのかをお話ししておきたいと思います。

それはグローバル化の流れです。グローバル化の本質は「多様化」です。性別や国籍にかかわらず、さまざまな価値観の人々とともに働くためには、これまで「阿吽の呼吸」で伝わっていたことを言葉にして説明し、さらに対話を通じて理解を深めることが不可欠です。

世代間も含め価値観の多様性が進むいま、リーダーが説明能力を軽視していては、チームの力を最大化することはできないでしょう。

では、説明能力を身につけるには、どうすればいいのでしょうか?
今度はそれについて考えていきましょう。