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日本のアジェンダ

10年ぶりに封印を解かれた税制改革論議 
焦点は公平と効率をいかに両立させるかだ
――中央大学法科大学院教授 森信茂樹

【第2回】 2010年6月25日
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 菅総理は所信表明演説で、「強い経済、強い財政、強い社会保障」を目標にあげるとともに、「我が国財政の危機的状況を改善するためには、こうした無駄遣いの根絶と経済成長を実現する予算編成に加え、税制の抜本改革に着手することが不可避です」と語った。

 さらに17日、消費増税について、税率と逆進性(注1)対策を含む改革案を今年度中にまとめる方針を表明、税率については、自民党が参院選公約に盛り込んだ10%を参考にすることを公言した。まずは、これまで、10年以上凍結されてきた税制改革議論が始まることを大いに歓迎したい。

なぜ税制の抜本的改革が必要か

もりのぶ しげき 法学博士。1973年京都大学法学部卒業後大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。著書に、『給付つき税額控除』(中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)、『日本の税制』(PHP新書)など。

 消費税率ばかりが注目されるが、税制改革議論を始める意義は、それだけではない。

 税制改革には、「政府の規模をどの程度のものにするか」と「望ましい税制改革はどのようなものか」という2つの面がある。それはちょうど、租税政策の目的が、「公共サービスを提供するために必要な資金の調達」と、「所得の再分配・経済の安定化・景気調節機能」の2つであることに対応している。

 つまり、「政府の規模をどの程度のものにするか」という課題は、公共サービスの中身(歳出)と密接不可分であり、「大きな政府か小さな政府か」、さらには、「受益」と「負担」のバランスがうまく取れているのかどうかという問題である。その間のバランスが崩れ、小さな負担と中程度の受益となっていれば、負担を増加させる必要がある。
 

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