世界ナンバーワンのデジタルデータソリューション企業を目指す

 デジタルデータソリューションは、HDDやUSBメモリー、SDカードのほか、スマートフォン、タブレット端末などの本体から消失したデータを復旧できる高度な技術も持っている。「アプリが入っていて本体が初期化されていない状態なら、消去したLINEやカカオトークなどの会話履歴、GメールやYahoo!メールなどの受送信履歴もほぼ完全に復旧できます」と熊谷氏。こうしたサービスの利用者は個人だけでなく、企業が多いというのも驚きだ。スマートフォンを使用した社員の不正を、スマートフォン内の履歴を復旧することで証拠として使用するらしい。もちろん、守秘義務は徹底しているとのことだが。

 しかし、何と言っても多いのは、顧客名簿や売上管理データ、研究・開発データといった法人関連のデータ復旧依頼だ。何年、何十年と蓄えてきた大事な情報は、言うまでもなく企業にとって「失うことのできない」資産である。

 デジタルデータソリューションの顧客には、官公庁や名立たる大手企業も多数含まれているというが、これは、いかに厳格な管理体制を構築した組織であっても、データ消失の危機から完全に逃れることはできないという現実を示している。

 熊谷氏は「ある民間調査によると、日本の企業経営者の約3割はデータ復旧サービスの存在すら知らず、データが失われてしまったら『あきらめる』と答えていました。しかし現実には、失われたデータは9割以上の確率で取り戻せるのです。データ復旧サービスがもっと認知されれば、企業が大切な情報資産を失うリスクは確実に低減されるはずです」と語る。

 認知度の低さは、裏を返せばデータ復旧産業に大きな伸びしろがあることを意味する。デジタルデータソリューションは今後、市場拡大の波に乗って国内トップシェア企業としての地位を確固たるものとし、さらには「データ復旧だけでなく、デジタルデータのさまざまな問題解決事業に乗り出し、本当の意味でのデジタルデータのソリューションカンパニーとなること」(熊谷氏)を目指しているという。

HDD自体が機械的に壊れる「物理障害」に迅速対応するため、社内には常時、約8000台もの異なるHDDが交換部品用にストックされている。

 長期的に売上高1000億円企業を目指すことも同社の大きな目標だ。その成長力を確信して、2015年には日本ベンチャーキャピタルなどが出資。数年以内の株式上場も視野に入れている。今後、さらなる事業拡大に向けて、経験豊富な中堅クラスの営業スタッフやエンジニアを積極的に採用していく方針だという。デジタルデータソリューションへの認知が深まるとともに、デジタルデータソリューションのビジネスも大きく拡大しそうだ。