入居前から、入居希望者と間取りやサービス内容などをテーマに勉強会を重ねる。直前に建設した小規模多機能居宅介護を併設したサ高住「ゆいまーる伊川谷」(神戸市)で実施してきた「参加型」をここでも取り入れた。入居者の中にはそば職人の腕を生かして、昼食にそばを打って収入につなげる男性もいる。美容師の経験を活かして他の入居者の髪をカットする女性も。

 ただ、利用料金の仕組みは有料老人ホームに近い。大半のサ高住と違って、家賃一括前払い方式を採り、毎月家賃を支払う方式ではない。33m2の部屋で1137万円、66m2で2451万円とかなり高額だ。入居して15年までの家賃となり、それ以前に退去すれば返還金を支払う。15年以降の家賃は不要。

 だが、90歳代の高齢者には「15年契約」は厳しいので、賃貸方式を検討すると言う。実は昨年までは、家賃一括前払い方式と並んで、家賃方式も採っていた。このほかに毎月の費用は、1人入居の場合で共益費が月8000円、安否確認などの人件費となるサポート費(生活支援費)は3万850円。つまり前払い金の他には毎月3万8850円かかる。もし、食事提供を望めば、昼食(540円)と夕食(760円)で、1ヵ月4万円が加わる。

 現在の入居者は67室に75人。8室で夫婦や親子、友達同士など2人が暮らす。入居者の年齢はかなり若く、昨春までは平均年齢が60歳代だった。

 回廊の先には食堂やデイサービス施設を併設している。定員10人のデイサービスには、現在3人の入居者が通っている。

高齢化するニュータウンで
「アンチCCRC」の取り組も

 コミュニティネットは、那須のほかに全国7ヵ所でサ高住や有料老人ホームを運営している。東京都多摩市や日野市など多摩ニュータウンで3ヵ所を手掛けるなど都会地での高齢者ケア事業が多い。なかでも高齢化が極度に進行している高島平団地(東京都板橋区)での「ゆいまーる高島平」は「アンチCCRC」ともいえるユニークな試みだ。

 1970年代初めに入居が始まった高島平団地は高度経済成長期のニュータウンの典型である。日本住宅公団(現在のUR都市機構)が「徳丸たんぼ」と言われた農地を整備し、賃貸住宅8287室と分譲住宅1883室のマンモス団地を作り上げた。

 40年以上経過すると若年層の転居とともに団塊世代を中心にした住民の高齢化が進み、今や日本人入居者の半数が65歳以上となった。日本の高齢化率27%をはるかに上回る。高齢化と並んで独居率が高く、さらに空き室も増えている。最盛期には3万人を超えていた団地人口は半減した。

 いずれも、日本の近い将来の人口構成をいち早く先取りした。そこに、コミュニティネットが新たな高齢者の住まい作りを仕掛けた。国交省が奨励している「分散型サ高住」方式で、全国のサ高住で初めての試みだ。

分散型サ高住を採り入れた「ゆいまーる高島平」
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 分散型サ高住は、空家、空き室、空きマンション対策として国交省がひねり出したサ高住の新しい類型である。空家を改装してサ高住に衣替えする施策はかねてより国交省が力を入れてきた。だが、サ高住には「安否確認」と「相談」の業務担当者を日中配置しなければならない。そのために、サ高住の中にもう一部屋確保するのは、相当に費用負担となる。

 そこで、サ高住の建物から500m以内であれば別の建物に担当者がいればよいことにした。複数のサ高住を一人の担当者に委ねてもよくなり、かなり効率性が高まる。