「儲ける」と「稼ぐ」は
何が違うのか?

神田 よく「儲ける」と「稼ぐ」というタイトルの書籍を見かけますが、私の解釈では、「儲ける」と「稼ぐ」は大きく違います
 ざっくり言うと、1999~2004年くらいが「儲ける」時代でした。1999年に開発した「PASONAの法則」の「A」は「あぶりたてる」を意味する「Agitation」。これに近い英語の類語は「Against」。時代的にも1997~98年は山一證券や北海道拓殖銀行(拓銀)が破たんし、金融パニックが到来。
 一方で、この時代に、楽天などの新興IT企業が続々誕生した。「Agitation」を軸とした『あなたの会社が90日で儲かる!』や『非常識な成功法則』は、「夢を持ちたい」「大企業への反逆」が支持された当時、爆発的ブームになったわけです。

記者 たしかに! 思い出しますね。

神田 でも、私は「時代の転換」を察知し、2004年、一時は会員数4000社まで拡大した「顧客獲得実践会」(以下、「実践会」)をおもいきって休会。2003年から2015年への12年スパンを見通し、『全脳思考』『ストーリー思考』などのフューチャーマッピングを紹介してきました。2016年現在、ザクザク「儲ける」から、「社会性」や「貢献」に基盤を置き、楽しみながら「稼ぐ」という価値観にシフトしてきたわけです。

記者 「儲ける」から「稼ぐ」への転換ですか?

神田 はい。フリーミアム、無料モニター・無料サンプルなど、インターネット上には、あまりにも多くの情報が氾濫していますが、今必要なのは、「Agitation(あぶりたて)」ではなく、お客さんとの「Affinity(親近感)」であり、「具体的な提案(オファー)」をよりわかりやすく伝えることです。

記者 「Agitation(あぶりたて)」から「Affinity(親近感)」への転換ですか? もしかして、今回の新刊のサブタイトルにある「新・PASONAの法則」の最初か最後の「A」は、「Affinity(親近感)」ですか?

神田 そのとおり。最初の「A」が「Affinity(親近感)」。最後の「A」は「Action(行動)」になります。また、オファーは具体的であるべき、という観点から、「新・PASONAの法則」では「Offer(提案)」をあえて独立させました。どんなにすばらしい解決策(S)を持っていても、チャーミングな具体的オファーのない商品は絶対売れないからです。

「新・PASONAの法則」が
17年間封印された理由

記者 そもそも「新・PASONAの法則」とは、何の略ですか?

神田Pが「問題」、Aが「親近感」、Sが「解決策」、Oが「解決策」、Nが「絞り込み」、Aが「行動」です。この順番で文章を組み立てると、商品が売れる「順番」に変身します。

記者 インターネット上の「マーケティング用語サイト」に行くと、「PASONAの法則」があります。マーケッターの中ではよく知られた法則なのに、なぜ、17年もの間、書籍化されなかったのでしょう?

神田あまりにも効果的かつ即効性があるために、悪用されかねなかったからです。でも、今回、ようやく誤解されることなく、説明できる自信がついたので、時代の変化を踏まえて改善し、「新・PASONAの法則」として初公開しました。

記者 そうだったのですか。

神田 【PART1】の稼ぐ言葉を掘り当てる「5つの質問」(以下「5つの質問」)と【PART2】の「新・PASONAの法則」は、これ以上、シンプルかつ強力なものはないと自信を持って言えます。
 本書を読めば、ビジネスの成長プロセスは、使う言葉で加速化させられることが実感できる。どんな難題にぶつかっても、解決のアイデアが発想でき、かつメンバー間のコミュニケーションがスムーズに進んでいくでしょう。

記者 「5つの質問」も非常に意味深で、気になりますね。
 次回は、本邦初公開の【貧す人】vs【稼ぐ人】売れる公式41について詳しく聞かせてください。

神田 わかりました。