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吉田恒のデータが語る為替の法則

行き過ぎた景気悲観論はクライマックスへ。
8月FOMCでの利下げ織り込みは時期尚早

吉田 恒
【第86回】 2010年6月30日
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 景気の先行き不安が再燃し、米国の長期金利(10年物国債の金利)は年初来最低を更新する動きとなり、株価もユーロも反落しています。

 ただ、私はこういった動きは、クライマックスの局面にあるのではないかと思っています。

米国の金利はもっと下がりそうにも見えるが…

 米国の長期金利は下落が続き、6月28日(月)には3%の大台割れ含みとなってきました。

 ただ、こういった中で、90日移動平均線からのカイ離率は、マイナス10%を大きく越えてきています。

 過去30年間を見ると、90日移動平均線からのカイ離率がマイナス10%を超えたのは10数回しかなく、その意味では、かなりの短期下がり過ぎ懸念が強くなってきています。

 このような移動平均線からのカイ離率を見ないと、米国の金利低下は当然の結果だと思えるでしょう。

 そのきっかけの1つは、米国の住宅関連の景気指標が急速に悪化してきたことでした。

 米国では、4月末まで政府による住宅対策が行われていましたが、対策が止められたとたんに住宅関連指標が悪化してきたため、景気回復の鈍さも相まって「二番底」懸念が広がり始めました。

 もう1つは6月23日(水)のFOMC(米公開市場委員会)でしょう。ここでは、ユーロ危機を指していると見られますが、「海外要因」を理由に景気判断が下方修正されました。

 そして、この週末に開かれたG20(主要20カ国・地域首脳会議)サミットで、欧州諸国の財政再建が追認されたことも、景気回復重視の姿勢が後退したとして、金利低下要因になったと説明されています。

 繰り返しになりますが、このような動きを見ていると、金利低下は当然で、もっと下がってもまったくおかしくないと感じることでしょう。

 ただ、90日移動平均線からのカイ離率を見ると、経験的には、かなりの下がり過ぎ懸念が強くなっていると思います。

米利下げが織り込み始められたが、時期尚早では?

 刻々と流れるニュースを見ているだけだと、金利低下が「間違い」であるという感じがしません。

 ところが、平均値からのカイ離などの客観的シグナルを見ていると、金利低下の「行き過ぎ」が強くなっていて、その意味では「間違い」のようです。

 それでは、「間違い」や「勘違い」のような動きは、この他にもどこかにあるのでしょうか?

 1つの例を挙げると、6月23日(水)のFOMCの結果などを受け、米国では早期利上げ期待が完全に消え、むしろ利下げを織り込む動きになっていることがあります。

 FF(フェデラル・ファンド)レート先物から金利市場の政策金利変更の織り込み度を計算する方法がありますが、それによると、8月開催のFOMCでの利下げ織り込み度は、6月開催のFOMCの1週間前は10%前後でしたが、その後25%前後まで急上昇しました。

 本当に、8月に米国は利下げするのでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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