経営×ソーシャル
ソーシャルのいま
【第6回】 2016年2月23日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

消費者に愛され続ける企業コミュニティ、敵に回すコミュニティの違い

企業のソーシャルメディア運営はなかなか自社の販促に結びつかないことも多い。消費者との関係と収益化を両立させる方法はあるか?

個人が匿名性を維持したまま社会につながるにはどうしたらよいのだろうか?

いまや多くの企業が、フェイスブックやツイッター、LINEをはじめとするソーシャルメディアを自社の販促に積極的に活用しようと取り組んでいる。だが悲しいかな、その努力は必ずしも成果には結びついていないようだ。

企業はステークホルダーと貨幣経済においてコミットしている以上、投じた金額に見合うリターンがなければその施策を長く続けることはできない。とはいえ、一度のトライですぐに手を引いてしまっては、いつまでたってもソーシャルに消費者とつながることはできない。

「インターネットが実現する心あたたまる関係」と「収益化」を両立させる方法は果たしてあるのだろうか? 今回のコラムから、いよいよ核心にせまっていくことにしよう。

実名を伏せたまま
社会につながる手段としての「企業」

前回の連載で指摘したソーシャルメディアによる個人の繭化の問題に対する処方箋は、実名性を高める方向ではなく、匿名性を維持したまま、社会につながるモデルにあると考えます。

 そのモデルを機能させるためには、自らが個々の人々とつながりつつ、同時に社会に強い影響力を持つ存在が求められます。その役割を担えるのはどのような存在でしょうか?私はここで、「企業」という組織にスポットライトを当てたいと思います。

 企業はひとつの主体でありながら、複数の人間が連繋して活動することができます。より多くの人々とつながることができます。個人ひとりの力は小さく弱いかもしれないけれど、和になってみんなの力を合わせることで、社会に大きな影響を与えることができます。

 企業が、実名性による個人のリスクを軽減し、注目を適切に分配する。また、個人の力を社会につないでいく。個人が企業に貢献する代わりに、企業が個人をリスクや孤独から守る。たとえるなら、イソギンチャクとクマノミの共生のような関係モデルを創るというアイデアです。

 それでは、企業がソーシャルメディアを活用するにはどのエリアが適しているのでしょうか?

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルのいま

ソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である筆者が『ソーシャルメディア進化論』を出版してから早4年。ソーシャルメディアを取り巻く状況は大きく変化した。一体何が変わり、何が変わっていないのか。当時の状況を振り返りつつ、現在の状況について考察を深めていく。

「ソーシャルのいま」

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