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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

旧友フォードとは対照的、マツダの“復活”は本物なのか?

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第23回】 2016年2月12日
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「過去最高」続出の決算
「いいね。マツダ車」で復活へ

過去最高のグローバル販売台数を発表したマツダ。日本市場撤退を決めたかつての資本提携先、フォードとは対照的だ。その復活は本物なのか
Photo:REUTERS/AFLO

 自動車各社の2016年3月期第3四半期(2015年4~12月)決算発表が出揃う中で、マツダは過去最高のグローバル販売台数実績と営業利益を示した。売上高は2008年3月期以来8年ぶりに過去最高を更新し、営業利益、経常利益は3年連続で過去最高となった。

 マツダは1970年代から長期に渡って米フォード・モーターとの資本提携関係を続けてきたが、これを解消して独自のSKYACTIV(スカイアクティブ)技術、ものづくり革新、魂動(こどう)デザインによる商品投入を行ない、大きく開花させてきたと言える。

 「マツダのクルマがいいね」と、最近他の自動車メーカー首脳が口を揃えて言うようになった。筆者も自動車関連のパーティなどで他社のトップからマツダ車を高く評価する声を多く耳にした。どうも単なるお世辞ではなく、「マツダ復活」に対する警戒と羨望が入り交じった本音の声である、と受け止めたのだ。

 マツダは地方の広島に本拠を置き、かつては長きに渡る米フォードとの資本提携関係にあって、紆余曲折を経てきた。一時は苦難の中で、「フォードの日本工場か」と言われるほど、フォードの子会社的な立場に傾く時期もあった。

 そのマツダがフォードとの資本提携を解消し、自力で復活を遂げ、その商品力を評価されるに至った経緯を、改めて考察する。

 マツダは、第3四半期累計業績の総括について、以下のように説明した。

 グローバル販売台数は対前年14%増の114万5000台と第3四半期として過去最高の実績(新型CX-3および新型MX-5/ロードスターがグローバルで台数貢献、Mazda6/アテンザ、CX-5の商品改良モデルが引き続き販売好調)を達成し、売上高は2兆5478億円、営業利益は1734億円、当期利益は1235億円となった。

 SKYACTIV商品・技術・魂動(こどう)デザインは、国内外で高い評価を得た(「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」「2015-2016自動車殿堂カーオブザイヤー」受賞、米国環境保護庁燃費トレンドレポート企業平均燃費値で3年連続総合1位)。

 2016年3月期通期見通しについても、売上高3兆3700億円(11・1%増)、本業の儲けを示す営業利益は2300億円(13・4%増)の2ケタ増で過去最高となる。

 通期営業利益の変動要因としては、グローバルでの販売拡大による台数・構成費で570億円、原材料価格の値下げを含むコスト改善で314億円をプラスとしている。トヨタやホンダ、日産、富士重工業など、他の主要自動車各社が為替差益の押し上げが大きい中で、マツダは為替分でUSドルが133億円のプラスとなったものの、他の通貨為替でのマイナスが大きく356億円の為替差損となったなかでの増益達成である。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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