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社外プレゼンの資料作成術
【第2回】 2016年2月18日
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前田鎌利

「社内」と「社外」でプレゼンは全く異なる!
社外プレゼンは「理屈」より「○○」が重要!

営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝の「社外プレゼンの資料作成術」を全公開。本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

社外プレゼンは「ロジック」だけでは足りない

 社内プレゼンと社外プレゼンは、ビジネスの「両輪」です。
 社内プレゼンで承認を勝ち取らなければ、どんなに優れたアイデアも実現させることはできません。そして、どんなに魅力的な商品やサービスを生み出すことができたとしても、社外プレゼンでその魅力を伝えられなければ、多くのお客さまにご利用いただくことはできません。

 また、お客様や取引先とのコミュニケーションを通して、商品・サービスや事業内容などを改革・改善すべきことに気づいたときには、社内プレゼンでそれを適切にフィードバックしていく必要があります。この循環がうまくいくかどうか。それが企業の盛衰に大きく影響します。そして、社内プレゼンと社外プレゼンの「両輪」を上手に回していくことが、ビジネスパーソンには求められているのです。

 しかし、この両者は根本的に異なります。その違いをしっかりと認識して、それぞれに適したプレゼンを行う必要があります。それが、ビジネス・プレゼンを上達させる第一歩です。

 では、何が違うのか?

 プレゼンの対象です。社内プレゼンは、利害を共有する身内が対象。決裁者は「聞く姿勢」をもっていますし、企業理念や問題意識も共有しています。「事業を成功させたい」「問題を解決したい」という願望も同じはずです。

 一方、社外プレゼンの対象は身内ではありませんから、問題意識も願望もまったく異なります。そもそも、彼らにプレゼンを聞く義務はありません。にもかかわらず、わざわざ時間を割いてくださっているわけです。だから、「自分とは関係がない」「興味がない」「ピンと来ない」と思われたら、その時点でアウト。話も聞いていただけません。たとえ最後まで聞いてくださったとしても、何らかのリアクションを期待するのは難しいでしょう。

 つまり、プレゼンの対象が身内であるか否かによって、プレゼンを行う前提条件が異なってくるということ。その結果、プレゼン資料の構成もスライドのつくり方もまったく違ってくるのです。

「心」が動かなければ、プレゼンを聞いてもらえない

 たとえば、人事制度改革をテーマに考えてみましょう。

 社内の中堅社員のモチベーションが下がっているため、年功的な人事制度を改革するためのプレゼンをするとします。この場合、プレゼンの冒頭で「中堅社員のモチベーション低下」という課題を端的に示す下図のようなスライドが必要となるでしょう。社員アンケート結果というデータを示せば、決裁者はすぐに「危機感」を共有してくれるはずです。

  しかし、コンサルタントとして人事制度改革を他社に提案するのであれば、話は変わってきます。ファーストアプローチの場合には、そもそも営業先の会社の社員アンケートなどありませんから、上図のようなスライドをつくることはできません。それに、人事制度改革の必要性を認識していない相手であることも多いでしょう。そのような相手に話を聞いてもらうためには、下図のようなスライドを用意する必要があります。

 このスライドの狙いは、中堅社員のモチベーション低下が深刻であることを、印象的な写真やインパクトのある言葉で訴えることによって、「ウチの会社は大丈夫か?」「もしかしたら、ウチも……」などといった「危機感」や「不安」を刺激することにあります。これに成功すれば、きっと相手はその先の話を聞いてみようと思ってくれるはずです。

 逆に、このようなスライドは社内プレゼンでは不要です。いや、邪魔ですらあります。決裁者は忙しく、限られた会議時間のなかで次々と決裁をしていかなければなりません。だから、「余計なスライドはいらないから、さっさと本題に入ってくれ」と思われるだけ。社内プレゼンの相手は、問題意識や願望を共有している決裁者です。わざわざ「危機感」を刺激するビジュアル・スライドを用意する必要はないのです。

 このように、同じ人事制度改革というテーマであっても、社内プレゼンと社外プレゼンでは、まったく違うアプローチをする必要があります。もちろん、これはほんの一例。一枚一枚のスライドのつくり方から、プレゼン全体の構成の仕方まですべてが違うのです。

 それを整理したのが下図です。今後の連載で詳しく説明していきますので、ここではまず、社外プレゼンでは聞き手の「感情」にアプローチするために、社内プレゼンとはかなり違った資料づくりが求められることを、ざっくりとつかんでいただければ大丈夫です。プレゼンにロジック(理屈)が必要なのは当たり前。社外プレゼンでは、それ以上に「感情」が大切なのです。

 

前田鎌利(まえだ・かまり)1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。各種  営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会なども担当。2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1 期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも多数担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。著書に、『社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)。

 

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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