「ベストの学校の一つ」という言い方は
矛盾している

 それが、自分を世の中のより高い地位につけるのにいちばん手っ取り早い方法、あるいは唯一の方法だと思うからか、マントルピースの上に飾ったり、写真に撮ったり、自慢したりできるものを求めるんです。そうなるともはや、自分がゲームをどう闘うかということは関係なくて、勝つか負けるかということでもなくて、学んだり成長したり、それを楽しむということでもない。頭にあるのは「これをやったらどれだけ得するか?」だけなんです。結果的に、貴重な努力も安っぽいものにして、グアテマラに診療所を作っても、目的はグアテマラの人を幸せにすることではなく、ボードウィン大学に入学するための内申書をよくする手段になってしまう。流行病みたいなものですよ。

 その点では、このわれらがウェルズリーハイも免疫はありません……全米3万7000校のうちのベストの学校の一つであるウェルズリーハイスクールにもね……優秀と言っても、もうそれほど優秀じゃない、B評価はもともとのC評価を新たに言い換えただけで、普通のクラスが特別進学クラスと呼ばれるようになってきています。

 それに、「ベストの学校の一つ」と言ったときにお気づきですよね。わたしは「ベストの学校の一つ」と言いました。ということは、自分たちに自信を持っていいわけです。ちょっとは違いがあると思っていいわけです、かすかに、確かめられない程度にではありますが、自分たちは、エリートが何を指すかよくわかりませんが、エリートに入るんだ、ライバルより一歩先んじているんだと思ってもね。でも、わたしの言ったことはロジックが矛盾していますよね。そもそも、ベストは一つしかありません。ベストは、そうかそうじゃないか、どちらかしかないんです。

続きは次回(2月19日)公開予定です。