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マーケットで成功するための投資の心理学

嫌なことには目をつぶる“塩漬け”の心理

林 康史 [立正大学経済学部教授]
【第4回】 2007年11月27日
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 前回は同調について触れ、それがユーフォリア、そしてやがてバブルにつながる可能性があると書いた。

 同調と並んで、多くの人がマーケットに翻弄されて傷を広げる心理バイアスで大事だと思われるのが、認知的不協和の理論(※1)である。

(※1)認知的一貫性の理論【人はすでに持っている認知とそれに関する別の認知が調和・適合しない場合、緊張や不快が生じるが、それらを解消し認知的な一貫性を保とうとする。それらの起こる条件や解消方法についての理論の総称】のひとつ。認知と認知の相互作用には、協和的関係がある場合と無い場合があり、不協和関係の起こる条件、不協和の度合い、回避方法などに関するL・フェスティンガーの理論が知られている。

認知的不協和とは何か

 認知的不協和というと、何のことか、ピンと来ない人も多いだろう。ごくごく簡単にいえば、「嫌なことは聞きたくない」という態度にいたる心理バイアスだ。つまり、自分に馴染まない事象を拒絶しようとする傾向のことである。

 次の問題を考えていただこう。

【問1】あなたは迷った末に、あるメーカーの車を購入しました。その後、買わなかった車の広告をあちこちで頻繁に目にするようになりました。その車が颯爽と走っている広告を見て、あなたは、どんな気持ちになると思いますか?

A=あまり、いい気分ではない

B=自分の決定とは何の関係もない……と思う

 Aと答えた人は素直な人だろう。特に、迷った挙句の判断であれば、自分が選択しなかったほうの広告をぜひとも見たいと思う人はいまい。そう、不協和の度合いが強いからだ。

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林 康史 [立正大学経済学部教授]

大阪大学法学部卒。東京大学法学修士。メーカー・生命保険・証券投資信託・銀行で、海外営業・外国為替ディーラー・ストラテジストなどを経験した後、2005年4月から現職。投資の心理に関する著訳書多数。最新刊に、『決定版 株価・為替が読めるチャート分析』(日経ビジネス人文庫)、『バリュー投資』(日経BP社)。立正大学経済学部では、「投資入門(テクニカル分析とシステム入門)」をテーマとする公開講座を開催します(4/14、4/21、4/28。受講料は無料)。講師は林康史氏。問い合わせ先:立正大学経済学部 TEL: 03-3492-7529 E-mailメール: eco@ris.ac.jp


マーケットで成功するための投資の心理学

長年金融の実務に携わってきた著者が、相場における成功や失敗の原因を、人間の心の働きと経済の関係を研究する行動経済学の立場から解き明かす。

「マーケットで成功するための投資の心理学」

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