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田中均の「世界を見る眼」

北朝鮮核・ミサイル問題で外交的失敗を繰り返すな

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第53回】 2016年2月17日
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非核化に失敗してきた四半世紀
なぜ北朝鮮を止められなかったか

2月7日に行われたミサイル発射実験(北朝鮮によれば衛星打ち上げ)。朝鮮中央テレビより    Photo:KFA

 国際規範を全く無視し、核・ミサイル実験を続ける北朝鮮の行動を止めることはできるのだろうか? 同国が核開発を行っていることが明らかになった1980年代末から今日に至る四半世紀の間、国際社会が手をこまねいて見ていた訳ではない。1994年の米朝枠組み合意が2003年に壊れた後、米国、韓国、日本は中国やロシアを巻き込み、北朝鮮を含む6者協議を成立させ、非核化に向けて行動をとってきた。

 しかし2006年に最初の核実験を実施し、北朝鮮は着々と核・ミサイルの高度化に向け実験を重ねてきた。この結果だけを見る限り、日米韓の非核化に向けての外交は惨めに失敗してきたと言わざるを得ない。1月6日の第4回目の核実験及び2月7日のミサイル発射を受け、新聞紙上では中国を巻き込んでの国連安保理決議や独自制裁の言葉が躍っているが、制裁は目的ではなく非核化を達成するための手段であろう。

 制裁後のシナリオはあるのだろうか。従来同様、制裁を実施しても何も変わらず、北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返すといったことで良いのであろうか。これまで何が不十分だったか、いま一度立ち止まって考えてみる必要があると思う。

 これまで北朝鮮核開発問題への対応を困難にしてきたのは、次の四つの理由である。

 第一に、北朝鮮と交渉しても核放棄をさせることはできないのではないかという認識がある。核開発を阻止する目的で、1994年には米朝枠組み合意、また2005年9月には6者協議包括合意がなされた。ただ後から振り返ると、北朝鮮はこの間も一貫して核開発を行ってきたと見られる。従って同国が非核化に向けての明確な行動をとらない限り、交渉をしてもごまかされ、時間稼ぎに使われるばかりであるという思いは日米韓に強い。米国は一時、軍事的手段に訴えることも考えたようであるが、多くの施設が地下に隠されている北朝鮮への空爆は効果が薄い。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


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西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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