スラスラ読める人は本の「どこ」を見ているか?◎あなたの積ん読も、これで解消!!
『遅読家のための読書術』(印南敦史・著)

ただ、ここで誤解しないでいただきたいのが、この種の実例がすべて無価値だといいたいわけではないということです。

事例のようにある程度まとまりのある要素は、一般に読み飛ばしやすい(読み飛ばしても前後がつながりやすい)ものの、コンテンツ価値がまったくないわけではありません。

ただ、小説などにくらべると、ビジネス書などのエピソードには深みがあっておもしろいものはかなり少ないですから、事例がなくても主張の大枠が理解できるようであれば、迷わず飛ばしてしまうことをおすすめします。

◎期待・危機を煽る「過剰すぎる表現」
本に「啓発」されることが目的で本を読んでいる人にとっては大事なパートなのかもしれませんが、読者の感情を「煽る」ために書かれた部分は、いつもザーッと流して読むようにしています。

「本書を読み終えたとき、あなたの人生は劇的に変化するでしょう」といったことが書かれている本の大半は、多くの場合、人生を劇的に変化させてはくれません。うわついた話を強調している本を、僕はあまり信用していない。

いささか個人的見解が入り過ぎているかもしれませんが、あくまで参考までに……。

場合によっては、僕のこの本も「読み飛ばせる箇所」がたくさんあると思います。

もちろん著者としては、どの部分も必要だと思って書いているので、本音をいえば全部を読んでいただきたいのですが……。

ただ、忘れてはならないのは、読書においては「読者」が主人公だということ。

どんな本を読むときも、「ありがたいお話を一言一句たりとも聞き逃すわけにはいかない!」というような気持ちではなく、もっと自分本位でわがままに本と向き合っていただきたいと思います。

(第19回に続く 3/22公開予定)