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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

韓国の不動産業界が中国人客を狙う

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第9回】 2010年7月8日
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 数年前、静岡県の関係者が訪ねてきて、静岡空港開通後の中国人利用客をどう確保すればいいのかと意見を求められた。私は、静岡県と浙江省との友好姉妹省県の関係を活用して、伊豆の別荘地を中国に売り込めばいい、と提案した。

 民営企業が発達する浙江省は、金持ちが多いことで知られる。しかも、浙江省の金持ちは不動産に対する執着で有名なのだ。中国では、浙江省の金持ちがどこかの都市で不動産を買い求めるとたちまちそこの不動産の販売価格が急騰する。

 浙江省の省都・杭州と静岡空港を結ぶ直行便ができると、移動時間もそうかからない。伊豆なら冬も暖かいし、別荘を利用できる期間も長い。伊豆の別荘を買ったら、浙江省の金持ちたちはそれをステータスとしてビジネスのお客さんへの接待に使うだろう。そうこうしているうちに伊豆が中国で知られ、人気度も上昇し、より多くの人が静岡を訪れてくるだろう。

 捕らぬ狸の皮算用と言われれば、その時点では確かにそうかもしれない。しかし自信はあった。中国の不動産価格が急激に高騰し続けており、日本の、特に地方の不動産が格安に見えるという事情を知っていたからだ。

 だが、静岡県の関係者たちは最終的には私の提案を採用しなかったようだ。おそらく即効性がないと思ったからだろう。

 意外なことに、隣の韓国でまるで私のその提案をそのまま採用したような地方がある。済州道だ。

 今年5月3日付の朝鮮日報電子版(中国語版)の報道によると、地元の不動産開発会社Raonリゾート開発会社が上海の150名の不動産投資希望者を済州島に招き、建設中のリゾート村Raon Private Townを見学させ、3日間にわたる商談で、合計306億ウォン(約1億8000万人民元、約23億円)に上る58もの売買契約を成立させたという。そのうち、面積290平米以上の一戸建て住宅が3件、面積180平米のタウンハウスが35件、120平米の住宅が20件、平均価格は1坪(約3.3平米)当たり1000万ウォン(約72万円)だという。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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