ですので、この連載では「数字に強い」を明確に定義します。
 数字に強いビジネスパーソンとは、次の4つができる人のことを指します。

  ☆電卓を正しく扱える
  ☆数字を使って考えられる
  ☆数字のマジックに惑わされない
  ☆数字の裏まで読み解ける

なぜ、この4つなのか

 具体的な説明が必要でしょう。
 まず、あなたが「計算の達人」である必要はありません。もちろんその能力をお持ちであれば、それは素晴らしいことです。

 しかし計算の達人は、すでにあなたのオフィスにいます。そう、「電卓」です。
 ですから、あなたは電卓が正しく扱えれば十分なのです。

 ビジネスの現場では数字がついてまわります。仕事とは、ヒト・モノ・カネを動かすことです。そしてそのヒト・モノ・カネはすべて数字で表現すべきもの。ですから、単に「考える」ではなく「数字を使って考える」が必要でしょう。ただし、「ナンチャラ思考」みたいな難しいものである必要はありません。

 休日にショッピング街を歩いていると目に飛び込んでくる「おいしい数字」の数々。たとえば『MAX50%OFF』『ポイント2倍SALE!』などなど。
 しかし、もしあなたが数字のマジックに惑わされると、誤った判断をしてしまいます。これはあなたにとって、「損」以外の何物でもありません。

 あなたのパソコンの中には、たくさんの数字(データ)が眠っているはず。日経新聞を開けば、世の中がどうなっているかを教えてくれる数字もたくさん並んでいます。そう、読むための素材はすでにあなたの手元にあるのです。
 だからこそ、その数字の「裏」に隠された真実まで読み解きたいものです。

 いかがでしょうか。どれも「確かに必要かも……」と思えるものばかりではありませんか。
 そして、かつての数学ができるか否かとはちょっとベクトルが違う話だなということも、なんとなく感じ取っていただけているのではないでしょうか。

 しかし、(ここが大切なポイントなのですが)これらの能力をトレーニングする機会が学生時代の算数や数学の授業(あるいは社会人になってからの社員研修)で存在したでしょうか。
 おそらく、ほとんどの方が「NO」と答えるでしょう。それはそうです。日本は、そういう教育をしていないのですから。