日本の携帯電話市場では、ここにきて大手メーカーの再編が相次いでいる。「SIMロックの解除」など、キャリアの一部も生き残りを賭けた戦いに打って出た。“和製ケータイ”の国際競争力を弱めてきた「ガラパゴス化」からの脱皮が、今まさに始まろうとしている。そんななか幕を開ける携帯電話の「夏商戦」は、各社の浮沈を賭けた分水嶺になる可能性が高い。果たして、その主役は?(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

「打倒iPhone」に奇策はあるか?
新製品に賭ける各キャリアの背水の陣

 この夏、日本の携帯電話商戦に大きな変化が起きる――。関係者の間では、春先からそう囁かれていた。各社が感じているのは、これまでの市場に地殻変動をもたらしかねない新たな勢力の台頭だ。その主役こそ、昨今注目を浴びているスマートフォンに他ならない。

 実際、国内の携帯電話市場では、今やシェアの2割強をスマートフォンが占めている。この実態が明らかになったのは、今月頭のことだ。ユーザーのニーズは大きく変わりつつあり、まさに従来の市場から新たな市場へと移行する過渡期にあることを象徴するデータと言える。

 新たな市場の目玉となるのは、やはり「iPhone」だろう。日本でも去る6月24日に発売が開始された『iPhone 4』は、予想以上のブームをもたらし、発売からわずか3日間で170万台を突破するという破格の売れ行きを記録した。

 今や携帯電話も、「情報端末」としての機能を当たり前のように求められるようになった。『iPhone 4』を追撃しようとする競合製品も、続々と登場している。

 NTTドコモからは、米グーグル製のアンドロイドOSを搭載する『エクスペリア』が、さらにauからも、夏商戦に向けて東芝製の『IS02』が発表され、すでに販売がスタートしている。

 市場を力強く牽引するスマートフォンへの期待は大きい。各社のトップは、連日自社製品の宣伝に余念がない。