経営 × 採用

「ユニクロにはできなかったことを」を掲げたジーユーの改革
ジーユー代表取締役社長 柚木 治氏

多田洋祐 [ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長]
【第3回】 2016年3月4日
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990円ジーンズに賭けた、逆転の一手

ビズリーチ
多田洋祐取締役・キャリアカンパニー長

多田 そうした危機的状況から黒字転換を果たし、現在のような確固たるブランドができるまでには何があったのでしょうか。

柚木 黒字に転換したきっかけは、ユニクロでも実現できなかった低価格帯の商品を打ち出したこと。その代表格が990円ジーンズでした。誰もが驚くような低価格の商品を出すにあたり、目をつけたのがカジュアル服の王様とも言えるジーンズだったわけです。一般的なブランドであれば5000円以上はしますし、ユニクロですら当時は3990円で販売していましたから。

 ただ、990円ジーンズも、当初は1490円で作ろうと経営会議に持ち込みました。しかし、柳井から「990円の方が良いでしょう」と言われまして。「それは品質を考えるとさすがに無理だ」と抗弁したのですが、何としても実現しましょう、と。そこから品質を担保したまま、価格を990円にまで下げる挑戦が始まりました。

 当時は私たちもみんな「そんなのできっこない」と思っていました。その一方で「もし本当に990円でジーンズが販売できたらどうなるんだろう」というワクワク感があったのも事実です。そこで腹をくくり、通常は「1つの品番で2万本」が目安だったジーンズを50万本作りました。大量生産によるコストダウンや店舗運営に関わるコストを徹底的にカットしました。一方で、商品撮影には一流のフォトグラファーを起用したりと広告活動にはこだわりました。

多田 それだけのチャレンジならば、会社の空気も変わりそうですね。

柚木 そうですね。当時は社内に「ユニクロが一軍で、ジーユーは二軍」というイメージが植え付けられていたように思います。

 990円ジーンズの構想をぶちあげた際には、「すごい秘密兵器を手に入れたぞ」と、社員の目も輝いてきましたね。当時は200名ほどの社員でしたが、社員全員が失敗は許されない一発勝負という緊張感を持っていました。コストをできる限りカットした中でしたので、店舗の改装は私も社員と一緒にペンキを塗るなど、手作りで仕上げました。

 そして990円ジーンズの販売初日、シャッターが開くと店舗前に行列ができていました。多くのメディアにも取り上げられ、問い合わせの電話が鳴り止まないほど。あの時の感動は忘れられません。しかし、その賑わいも長続きせず、ブームは1年で終息しました。

多田 そこから一気に成長路線を駆け上がっていったわけではないのですね。

柚木 折しも990円ジーンズを販売した2009年当時はリーマンショックの影響が大きく、お客様からすると「本当はユニクロで買いたいけれども、我慢してジーユーで」という感覚だったのだと思います。今から思えばミニブームでしかありませんでした。似たような競合も出てくると売れなくなるなど、「ユニクロのようなもの」では勝ち続けられないことを痛感しました。

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企業における「採用」を考える

多田洋祐 [ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長]

トップヘッドハンターとして活躍後、人事部長として株式会社ビズリーチ入社し、入社時に従業員30人だった組織を4年で500人に拡大させる。現在はキャリア事業のトップとして事業全体を統括し、「ダイレクト・リクルーティング」の日本での本格的な普及に努める。

 


経営新戦略3.0

これまで数々の企業と対話を重ねてきた採用コンサルのプロが企業に横たわる経営課題をトップに直撃、その解決策について議論する。

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