日本銀行によるマイナス金利政策導入から1カ月が経過した。イールドカーブの起点を引き下げ、長期金利低下を促すとした日銀の期待通り、10年債利回りは史上初めてマイナスに突入し、期間の長い超長期国債の利回りも大きく低下している。40年債の単利利回りが1%を下回ったことで、日本の国債市場から利回りが1%を超える債券が消失した。

 これらの利回り低下はマイナス金利導入の効果とは言い難い。短期市場ではようやく円LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)がマイナスに突入した程度であり、長期債や超長期債の利回りは、次の緩和政策を期待しながら下がっているのが実情だ。

 米国における利上げ期待剥落がもたらしたドル安により、円高の流れは止まらず、また、マイナス金利が銀行収益を圧迫するとの懸念などから株価も低迷した。マイナス金利をさらに引き下げるような追加緩和は逆効果との声すら上がっている。マネタリーベース目標と国債買い入れ額の増額を伴う追加緩和が早々に決定されるだろうとの声が強まり、長期・超長期の債券利回りを押し下げた。

 そのような中、債券市場参加者の外債投資への関心が高まるのは当然ともいえるが、銀行のクレジットリスクの高まりや追加緩和がもたらす外貨調達コストの上昇によって、為替ヘッジ付き外債の利回りも大幅に低下している。新年度を迎えるに当たって、預金取扱金融機関などは運用方針すら決められないような状況だ。