【コットンプロジェクト】福島県いわき市
被災地の状況や仮設住宅を見て、
復興は終わっていないと感じた。

被災地の新たな農業を
手伝うことで復興支援

東日本大震災による被害や苦境を打開するために、2012年に福島県いわき市で「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」が立ち上げられた。秋の収穫を通じ、福島のさらなる活性化を応援する

 15年11月7日に開催されたのは「福島県いわき市でコットン収穫体験と復興支援」というプログラムである。東日本大震災の深刻な被害に見舞われたいわき市では、その苦境を乗り越えるための一手として、12年春から「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」が進行中だ。

 後継者不足に加えて、原発事故に伴う風評被害が発生し、農業を断念する生産者が相次いだことから、いわき市では遊休農地・耕作放棄地が増え続けていた。そこで、食用ではなく塩害にも強い綿を有機栽培で育て、収穫したコットンを製品化。それを販売することで、地域に活気と仕事をもたらすという同プロジェクトが立ち上がったのだ。

 JTBグループは当初からその活動に賛同し、前述のプログラムも3回目の開催となった。その名称からも想像がつくように、参加者がコットン収穫を手伝うことで復興支援の一役を担うという趣旨だ。JTB首都圏北千住店店長で、ツアー添乗も担当した後藤勝也氏は語る。

「過去3回、全てのツアーに参加いただいたお客さまが複数名いらっしゃって、復興支援への関心の高さを感じました。参加者の誰もが無我夢中でコットンの収穫に取り組み、その成果も上々でした。また、語り部さんの被災体験談などに、皆さまが一様に真剣な表情で耳を傾けていたのがとても印象的でした」

 栽培面積や収穫量が年々拡大し、収穫した綿花の製品化も進みつつある。JTBグループの取り組みを通じて、新たな特産品であるオーガニックコットンの認知もじわじわと広がり始めている。